理念・目的
- 〈教育研究上の目的〉
- 工学研究科は、独創的かつレベルの高い研究を展開して社会や人類に貢献するとともに、各専攻分野の原理・原則に関する深い知識と応用力を有し、学際的な視野にたって判断できる技術者や研究者を育成することを教育研究上の目的とする。それを踏まえ、修士課程では専門教育に立脚した専門技術者や研究者を育成する。また、博士後期課程では先端研究領域を切り開くことのできる高度専門技術者や上級研究者を育成する。
現在、高等教育を受ける割合の増大に伴い、大学で学ぶ意味がかなり多様化しているという現状にあります。これを受けて、大学自身が自らの理念目標を掲げて、それぞれの大学の日指す方向の中での多様化・個性化を図りつつ発展していくことの必要性が叫ばれています。したがって、学部卒業生が、研究を中心により深い専門領域を学ぶ大学院(修士ならびに博士課程)も、このような情況を反映して高度化と多様化に迫られています。一方、各自の個としての生き方が問われる現代においては、大学院に学ぶ個人(個)のより高度なレベルへの到達という視点での大学院の高度化と改革も必要とされています。
従来から大学院は、高度な知識を身につけたゼネラリストの育成を意図した修士(博士前期)課程と教育・研究のスペシャリストを育成する博士(後期)課程とに分けられ、各々の機能の充実と目的の達成を追及してきました。これまでの多くの場合、工科系大学学部卒業者は引き続き、知識の集約がはかられた学部教育の基礎の上に、特に将来、研究部門の一員として社会で活躍するためのライセンスを獲得する意味を含め、先端的な研究への参加を目指し大学院への進学を希望してきました。
また、現在のような展開の著しく速い知識基盤社会においては、科学技術部門に関与する個人にとっては、自己の知識体系を最新のレベルに再構築しながら同時により高度な先進的知識を獲得し、課題解決能力・リーダーシップ能力の涵養など自己を質的にも高められる可能性を見出せる場としての大学院の魅力がクローズアップされています。
以上のように、大学院修了生に対する社会からの期待は、各専門分野における深い知識と応用力を有する技術者・研究者としての自立とリーダーシップを有する人材にあります。このような状況に鑑み、工学院大学大学院工学研究科は教育研究上の目的として前述の項目を掲げました。
概要
工学院大学大学院工学研究科は、学部での教育による基礎の上に、工学における理論と応用を教授・研究することを目的として、1964(昭和39)年4月に修士課程が、1966(昭和41)年4月に博士課程が設置されました。その後1977(昭和52)年4月に大学院学則改定により博士課程一本となりましたが、博士課程5年を前期課程2年と後期課程3年に区分し、前者を修士課程、後者を博士後期課程と称しています。研究科は5つの専攻に分かれており、それぞれの専攻は工学部、グローバルエンジニアリング学部及び情報学部の複数の学科を基盤とし、広い領域の各種専門分野にわたる多様な教授陣を揃え、教育・研究を行っています。
- 学修について
- 本大学院における教育は、授業科目による授業(単位制度によるもの〈修士課程のみ〉)と、学位論文の作成等に関する指導(研究指導によるもの)によって行われます。修士課程における授業科目は、専修科目(必修)とその他の科目(選択)とに分かれ、専修科目は講義(2単位)と演習(8単位)を一組として履修します。学生は入学の際、専修科目を選定しますが、専修科目を担当する教員がその学生の指導教員となります。2007年度から複数指導教員によるきめの細かい指導体制を確立し、大学院生の学修を強力にサポートしています。
- 修了要件と学位
- ○修士課程
修士課程に2年以上在学し、所定の授業科目30単位以上を修得し、かつ必要な研究指導を受けた上、修士論文の審査および最終試験に合格することによって、修了することができます。ただし、在学期間に関しては、優れた研究業績をあげた者は1年以上の在学で修了を認めることがあります。
修士課程を修了した者には、「修士(工学)」の学位が授与されます。情報学専攻の場合は「修士(工学)」または「修士(情報学)」を選択できます。
○博士後期課程
博士後期課程に3年以上在学し、必要な研究指導を受けた上、博士論文の審査および最終試験に合格することによって、修了することができます。ただし、在学期間に関しては、優れた研究業績をあげた者は博士後期課程に1年以上の在学で修了を認めることがあります。
修了者には、「博士(工学)」の学位が授与されます。情報学専攻の場合は「博士(工学)」または「博士(情報学)」を選択できます。
教育・研究の特徴
- 多彩な教授陣と、きめ細かい指導
- 本学の大学院では、工学部、グローバルエンジニアリング学部及び情報学部に置かれた13の学科を基礎とした5つの専攻において、それぞれの専攻での必須分野をカバーする多彩な教授陣が、豊富な経験を生かして、授業科目を通して高度な教育を行うとともに、新たに複数指導教員制度を導入することにより学習面でも研究面でもきめ細かい指導を行っています。
- 充実した研究環境
- 科学技術の本質を考えると、高度な技術者の育成にとっては、研究を抜きにした教育は考えられません。本学の大学院では、教授陣が日夜学生諸君とともに多様な研究活動に取り組んでおり、研究所の下記の3つの付置センターの設置により最先端の研究に必要とされる高度な測定装置・機器などの研究設備も充実しています。文部科学省の「ハイテク・リサーチ・センター整備事業」で本学から初めて採択された「アドバンストマテリアルスセンター」(AMC)を継承する形で、2005年度からナノ表面・界面研究センター(NASIC)がスタートし、2009年度には最終年度を迎えました。また、2001(平成13)年度には同省の「学術フロンティア推進事業」に本学の研究プロジェクトが採択され、地震防災と環境を研究する拠点、「地震防災・環境研究センター」(EEC)が完成し、現在それを継続したPost EECとして活発に活動を続けています。こちらは2010年度に、「ハイテク・リサーチ・センター」や「学術フロンティア推進事業」を統合した「戦略的研究拠点形成支援事業」に申請する予定です。これらに加えて第3の研究センターとして、バイオ研究を念頭に置き、マイクロ工学の展開を狙った「マイクロ先進スマート機械・マイクロバイオシステム研究センター」(SMBC)が2004(平成16)年度より文部科学省の「ハイテク・リサーチ・センター整備事業」の支援を受けてスタートし、大きな成果を上げて、2007年度に終了しました。2008年度に、SMBCの成功を受けて、バイオ関係の研究的側面を強化した「生体医工学研究センター」を構想し、文科省の「戦略的研究拠点形成支援事業」に申請して採択されました。これらの研究センターでの研究活動は外部との共同研究を含む大がかりなもので、大学院生は最先端研究に関わりをもちながら、研究室内では経験することのできないスケールの大きな研究環境のなかで研究者として大きく育つことになります。
- 大学院生の研究活動の支援
- 最近の学会では、大学院生による研究発表が増加しています。本学では、大学院生の研究発表を奨励する目的で、他に例を見ないほど充実した支援を行っています。外国で開催される国際学会において大学院生が研究論文を発表するときは、1名につき12万円以内の交通費(エコノミークラスの往復航空運賃)を補助します。国内の発表でも交通費、参加登録費、宿泊費が補助されます。この支援を受けて、毎年多くの大学院生が学会発表を行っています。また、在学中に投稿し学会誌に掲載された特に学術的に優秀な研究論文に対しては、優秀論文賞と副賞を贈呈してその大学院生を表彰しながら研究を奨励しています。
- 低めに抑えた学費とTA制度、大学院進学奨励学費減免制度
- 本大学院では22年間学費の値上げを行わず、向学心ある人々に大学院での勉学の機会を広く提供する努力を続けており、他大学と比べてかなり低めに抑えた学費になっています。また、TA(ティーチングアシスタント)制度を採用し、大学院生に対して教育スタッフとしての経験を踏ませることにより、教育効果に反映する機会を提供するとともに、在学中の経済的負担の軽減をはかっています。さらに、大学院進学奨励学費減免制度を立ち上げ、修士及び博士後期課程在籍時の授業料1/2を減免することにより優秀な学生に対して大学院への進学を奨励しています。
- 多様な学生の受け入れ、社会に開かれた大学院
本大学院では、広い分野から多様な学生を受け入れる努力をしています。本学の学部出身者と共に、他大学の学生、社会人、留学生も歓迎しています。また、特に優秀な学生の飛び級入学制度ならびに短期修了制度もあります。
社会人の入学については、一般入試とは別に特に社会人を対象とした社会人特別選抜を実施しています。社会人が在職したまま大学院で学べるシステムが整備されています。具体的には、隔年で昼夜交互に講義を行う昼夜開講制(修士課程)、入学時期が4月と10月の年2回ある年間2学期制(セメスター制)などです。なお、本学卒業後、しばらくたって本大学院に社会人として入学するケースが増えています。
