学園情報環境への取り組み

大学で初!【Scope3】でCO2排出量を算定しました

地球温暖化が深刻な問題として取り上げられている昨今、原因とされる CO2排出量の削減への努力が世界規模で行われています。

そのひとつとして、購入する物品等を「CO2排出量がより少ない製造・輸送等の工程による製品」へシフトするという新たな動きが始まっています。

そのためには、購入物品のCO2排出量を知る必要があり、新しい算定方法【Scope3】を用いることになります。

【Scope3】は、大企業でも手をつけたばかりの最新のプロセスですが、本学環境エネルギー化学科環境マネジメント工学研究室(稲葉 敦教授)が他大学にさきがけて【Scope3】算定に着手。これにより、購入物品等とCO2排出量との関係性が明確となり、今後のCO2排出量削減への指標を確立することができました。
CO2排出量算定【Scope】とは何か
【Scope】とは、CO2・ CH4・NO2 および代替フロン等3ガスなどの温室効果ガスの排出量を算定する方法です。算定範囲のカテゴリーにより【Scope1〜3】があり、最新の【Scope3】では、事業者自身が排出する直接排出量の算定にとどまらず、原料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまでの一連の工程、つまりサイプライチェーンをも算定のカテゴリーとしています。 これにより、環境に配慮した製品・サービス購入等が促進され、エネルギー起源はもとより物品の購入等に伴うCO2排出量までも包括的に削減することが可能になります。

[Scopeの算定カテゴリ]

Scope1

事業者自身が排出する直接排出量(例:灯油の燃焼によるCO2排出量)

Scope2

他者から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴って排出される間接排出量(例:工学院大学が電気を使うことにより火力発電所で発生するCO2排出量)

Scope3

原材料の調達、輸送、使用、廃棄等といった事業者の事業活動より排出される間接排出量(例:工学院大学が購入するパソコンを製造する時に発生するCO2排出量)

温室効果ガス

Scope3のカテゴリ15項目

1.購入した製品・サービス
2.資本財
3.Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動
4.輸送、配送(上流)
5.事業から出る廃棄物
6.出張
7.雇用者の通勤
8.リース資産(上流)
9.輸送、配送(下流)
10.販売した製品の加工
11.販売した製品の使用
12.販売した製品の廃棄
13.リース資産(下流)
14.フランチャイズ
15.投資

工学院大学のCO2排出量算定

本学では、これまでも【Scope1、2】 の算定はしてきましたが、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減が必要であると考え、【Scope3】算定を行いました。

工学院大学【Scope3】算定方法

本学が現在把握している会計の支出データと環境負荷に関するデータを用い、原料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまでの一連の工程であるサプライチェーン全体のCO2排出量について、算定方法の検討を行うとともに本学のCO2排出量の特徴について分析を行いました。
  1. 工学院大学の会計の支出データを支払種別毎に分類すると伴に、エネルギー及び上水使用量の2012年度の実績データを入手する。
  2. MILCA1)及び3EID2)を用いて、各項目に該当するCO2排出原単位を調べる。
  3. 以下の計算方法に基づき、CO2排出量を算出する。
    ○支出データ(支払い種別毎)CO2排出量=金額×CO2排出係数(金額当たり)
    ○環境負荷データ(エネルギー・上水毎)CO2排出量=使用量×CO2排出係数(使用量当たり)

1)一般社団法人 産業環境管理協会“LCA 支援ソフトウェア(MILCA)”
2)独立行政法人 国立環境研究所 “産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)”

【Scope】算定結果−工学院大学CO2排出量(2012年度)


Scope3の割合が全体の半分以上を占めており、本学が購入している物品等の製造時のCO2排出量の方が、従来計算していたエネルギー起源のCO2排出量よりも大きいことがわかりました。

今後本学では、エネルギー起源のCO2排出量の抑制を引き続き進めるとともに、環境に配慮した製品・サービス購入等を促進し、物品の購入等に伴うCO2排出量の削減に努める必要があるという結論に達しました。
 


※この結果は、Scope3の研究としてまとめたものです。



環境マネジメント工学研究室では、引き続き研究を進め、次年度以降もその研究結果を発表する予定です。
※この研究は「科学研究費補助金(科研費)」で行われました。
本件に関するお問合せ 工学院大学工学部環境エネルギー化学科 教授 稲葉 敦
E-mail: a-inaba@cc.kogakuin.ac.jp TEL:03-3340-2679

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