技術者教育プログラム(JABEEプログラム)

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全国高等学校理科・科学クラブ研究論文

理科論文執筆のポイント

 工学院大学が行う「全国高等学校理科・科学クラブ研究論文募集」は、1994年にスタートし、毎年70〜80編の応募をいただいています。このなかには、常連高校はもちろんですが、例年初めて応募いただく高校が半数以上あります。

 応募作品は、生物、化学関係が多く、特に工学院大学でも力を入れている環境問題に関連したテーマが増える傾向にあります。

 審査においては、研究テーマの独創性、なされた努力、科学論文としてのまとめ方,今後の研究の発展の可能性などを軸に評価しています。高校生の研究を大学、企業、国公立研究所における研究と同レベルで評価することだけが審査の目的ではありません。教科書に従った学習が、主に、既存の原理や応用について学ぶのに比べ、研究とは、未知のことを明らかにし、新しい知識を作り出そうとする努力と工夫です。そこを丁寧に審査しようと考えています。

 高校の教材を発展させたり、大学レベルの内容を少しアレンジしたりすれば、研究テーマになり得るでしょうが、そればかりではなく、自分たちの周囲の興味深い現象に触発された研究、学校の社会的・地域的立地に根ざしたユニークな題材を取り上げる研究にも、高校生の独創性が生かされ、やりがいが生まれてくると考えます。広い範囲の研究テーマを期待しています。その意味では、過去の論文の題目一覧をごらんいただくだけで、その多様さには驚くべきものがあり、高校生の皆さんが楽しんで研究されたことを感じ取ることができます。

 一方、論文という考え方から見れば、高校生の著作であっても一般の学術論文と同じような体裁だけは整えてもらいたいと考えます。これは決して格式張るという訳ではなく、また形式だけにとらわれるということでもありません。科学する者が、論文という形で、自分の成果を世に問うために心得ておくポイントがあるからです。

1.目的と結果
すべての実験には、目的と結果があります。研究する者は、しばしば自分たちが面白いと感じることは誰でも面白い、自分たちがよく理解していることは誰でも知っているはず、という錯覚をしてしまうことがあります。論文の読み手は一般的知識と通常の知的理解力はあるでしょうが、その研究の具体的なことは知らないのが普通ですから、序章では目的を、終章では結果を、要領よくまとめて提示することが大切です。論文に添付する研究要旨では、目的と結果をつなぐ全体のストーリーがうまく伝わるような記述が望まれます。
2.実験条件の記述
科学的な客観性のためには実験条件を明確にすることは不可欠です。使用した装置に関する記述や、実験を行った環境についてはきちんと記述するべきです。どこまで詳しく書けばよいのか分からないと感じたら、次のようなことを想定すれとよいでしょう。即ち、あなたが別の学校の生徒だとして、必要な予算と時間を与えられたならば、その論文を読みながら同じ実験ができるか、ということです。この条件を満たす範囲で、煩雑にならないように要件を記述すればよいでしょう。
3.誤差と統計処理
すべての測定量には誤差がつきものです。得られた数値の信頼性を保証するためにも誤差についてはもう少し神経を使うべきです。例えば、2つの量に対して2つの数値が得られたときに、「両者は異なる」と断定するか、「両者は同程度である」と結論するかは、ひとえに誤差がいくらかにかかってくるからです。正しい考察と結論に至るためには実験誤差や有効数字の理解が不可欠です。電卓やコンピュータを利用するのはよいのですが、その前後の数値の処理に神経を使うことも大切です。
4.論理的な考察
ある結果が得られたとき、そのような現象が起きうる原因は一般に複数あり得ます。結果を考察する際には論理的な飛躍なしに、諸種の可能性を考え、必要なら別の原因でないことを証明するような補充実験・観測を行うように心がけねばなりません。新たな観点による飛躍が重要な場合もありますが、単なる想像や根拠の明確でない情報だけで結論を強引に出してしまうことは理科論文として好ましくありません。
5.文献リスト
研究内容をすべて自分の努力と考察だけで完結できる場合はほとんどありません。研究を準備あるいは実施・分析する過程で、参考にしたり、記述の一部やデータの引用を行ったりした資料については、すべてそれらを明示するのが論文の基本的ルールです。他人の研究と自分たちの研究とは論文の中できちんと区別されなければなりません。参考・参照資料はすべてその都度通し番号を明記し、論文末尾にはその文献の一覧表をつけるというのが、一般的なルールです。これはどんな書物や論文でも行われていることです。
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