【開催レポート#2】“好きな事”をやり通す自分を創る

2020 / 09 / 30

第2回 道先案内人/英国コベントリー大学准教授 豊田裕樹さん

国内外で活躍する卒業生を道先案内人に迎え、『MY CheerUp(元気の源や座右の銘)』、『MY Story(成功体験+挫折経験)』、『MY KUTE(自分にとっての工学院)』というテーマを軸にした講演や対談を配信するオンライン参加型セミナー『KUTE CheerUp Seminar 2020』。
2020年9月19日に行われた第2回目のセミナーでは、前回に引き続き、卒業生の豊田裕樹さんが登壇しました。

自動車レース用エンジン開発の分野で世界的に活躍し、現在は英国国立コベントリー大学で教鞭を執る豊田さん。
前回のセミナーでは豊田さんがエンジン開発を志したきっかけなどを紹介しながら“好きな事”を見つけることの大切さが伝えられましたが、今回はその続きです。
“好きな事”を見つけた豊田さんは、どのように行動し、夢を実現していったのか。
海外でのユニークなエピソードも目白押しのセミナーの模様をレポートします。

豊田 裕樹さん

工学院大学工業化学科を1989年に卒業。
以来、日本と海外を拠点に30余年にわたり自動車レース用エンジン(F1、ルマン、WRC、WTCC世界選手権レース)及び量産スポーツモデル等のエンジン開発、試作、実車両テスト、技術サポートを事業化し、欧州をはじめ世界各国で活躍する。
2017年に英国にてエンジニアリングコンサルト会社を設立。その一方で、次世代育成を目的に英国国立コベントリー大学で准教授としてモータースポーツパワートレイン技術などを教えている。

佐藤学長による挨拶

2020年9月19日に開催された『第2回 KUTE CheerUP Seminar 2020』。
前回に続いて300人近い在校生や卒業生、保護者が参加したオンラインセミナーは、佐藤光史学長の挨拶でスタートしました。

「世界で活躍する豊田先生を道先案内人に迎えた本セミナーも今回で2回目となります。
前回のセミナーでは、 “好奇心をカタチにする大学”である工学院大学の一員として、豊田先生のお話に元気と誇りをいただきました。
今日もどうぞ、よろしくお願いします」

“道先案内人”の豊田裕樹さんが登場

前回と同様、日本から遠く離れたイギリスのご自宅からの登壇となった豊田さん。
セミナーの冒頭で豊田さんが伝えたのは、世界中がコロナ禍に苦しむ今だからこそ実感する未来への想いでした。

「私が住む英国では、3月23日にロックダウンが始まりました。
あれから180日近くが経った今、私が感じているのは『人に合う大切さ』、『人に伝える大切さ』、『人と顔を合わせる大切さ』です。
こんな時だからこそ、これらの大切さを噛み締めて、来たるべき楽しい未来に向けて備えましょう」

さらに豊田さんは、第1回目のセミナーのおさらいとして、自身がエンジン開発を志したきっかけや、“好きなことを好きといえる自分を創る”ことの大切さ、人生を切り拓くための武器としてUSP(Unique Sales Point)を持つことの必要性について話していきます。
「成功を掴むためには、“自分の意思”を持つことが一番大事です。
『大学に行きたい』、『海外で働きたい』など、いろいろな“意思”があると思います。
このセミナーには、学生だけでなく保護者のみなさんにも参加して頂いていますが、もし我が子が“自分の意思”を持っていたら、ぜひ応援してあげてほしいですね」と豊田さんはセミナーの序盤を締めくくります。

好きな事をやり通す自分を創る。

前回のおさらいが終わると、いよいよ話題は今回のセミナーの核心に迫っていきます。
「体力勝負?耐力勝負? 好きな事をやり通す自分を創る。」というタイトルに続いて紹介されたのは、学生時代にレースエンジンの開発を志し、一度は国内の企業に就職した豊田さんが、アメリカでレースの仕事を掴み取るまでのストーリーでした。
「1991年、社会人2年目の時にアメリカに渡り、はじめての転職活動をしました。
デイトナからポートランドを経て、ロサンゼルスへ。
振り返れば26921kmもの距離を移動し、たくさんの苦労もしましたが、好きな事には苦労は付き物です。
ポジティブシンキングで行動した結果、最終的には夢を実現することができました」
そう言って当時の出来事を振り返る豊田さんは、初めての海外で英語に苦しんだエピソードなども紹介。
空港からホテルへと向かうタクシーに乗った時に“fifteen”と“fifty”を聞き間違えたことや”liver”を大嫌いなレバー(肝臓)だと知らずに注文してしまったことなどをユーモアたっぷりに話します。

「英語ではたくさん苦労をしましたが、そういう失敗を重ねることで少しずつ英語が体に染み付いていくんです。
言語は学問ではなくツール。使うほどにどんどん進化していきます。
実は私は今も英語は得意ではありません。けれど、好きな事を続けていくために、しっかりと英語を使い続けています」

さらに今回のセミナー中には「いきなり英語力テスト」と題した参加型のクイズコーナーも。教科書には載っていない現地特有のフレーズや単語が紹介されましたが、なかでも印象的だったのが、”Can-Do Attitude”というキーワードでした。
「“Can-Do Attitude”とは、どんなときでも“できる”方法を考える姿勢です。いつでも前向きなこの心構えは、社会人になった時の必須の武器になるはずです」と豊田さん。

夢は自分から掴みに行くもの。

当時は英語がほとんどできなかったという豊田さんですが、では、どのようにして夢にまで見たレースの仕事を得ることができたのでしょうか。

「デイトナ、ポートランド、ロサンゼルスと、とにかくレースの現場に足を運んで、話を聞いてくれる人を捕まえては『働きたいんだ』と伝えることをひたすら繰り返しました。
もちろん英語もまともに話せないので、結果は挫折、挫折、挫折の連続です。
それでも『このくらいの苦労で諦めるなら、“本当に好き”ではない証拠だ』と自分に言い聞かせて、前に進み続けました」
「そして1992年にとうとうロサンゼルスで仕事を得ることができたんです。
アメリカ人、メキシコ人、カナダ人など、さまざまな国籍の人々が働くその仕事場では、床拭きやトレーラーの掃除、ケータリングなど、いろいろな仕事をこなすことからスタートしましたが、憧れのフェニックスレースウェイを仕事で訪れたときは、夢に一歩近づいた実感がありました。
やはり、待っていても夢は近づいてこない。夢は自分から掴みに行くものなんだと思います」
さらに、セミナーの終盤では、レースの世界の魅力や海外で働く際の心構えから、
コベントリー大学での授業の様子やイギリスの最新のレースカー事情など、さまざまな話題が展開されました。

スタートから約1時間30分。『第2回 KUTE CheerUP Seminar 2020セミナー』は、幕を下ろしました。
3期連続のセミナーの第2回となる今回は、豊田さんが憧れの仕事を掴むまでのストーリーを軸に、英語との向き合い方や夢を掴むための行動力の大切さが伝えられました。
最終回となる次回のセミナーでは、仕事との向き合い方や大学を卒業することの意味などがテーマになる予定です。
10月31日(土)の開催を予定しているので、ぜひ参加してみてください。