卒業生インタビュー#06 | 建築学部10周年

卒業生の歩み・言葉から紐解く
建築学部10周年
見て、聞いて、学んで。
あらゆる経験が
将来の財産となる。

#6 安藤 亜由美Ayumi Ando

江戸東京たてもの園
32歳/新潟県/2013年・修士課程修了/後藤研究室

大学在籍時に歴史的建造物の保存に興味を持ち、大学院修了後は文化財の修理や復元・整備を主に取り扱う(株)文化財保存計画協会で、文化財建造物の設計監理や保存活用計画の策定を担当。キャリアを積む中で、文化財の活用や魅力を発信することにも興味を持ち、2017年に江戸たてもの園に入団。歴史的建造物の保存・修理を担当しつつ、そこで得た経験・知識を展覧会などで人々に伝える活動も行っています。

Q. 今の仕事を志すきっかけは?
A. 研究室の活動などで伝統的な集落や、歴史的建造物の調査をするため全国各地を巡りましたが、各地には想像を上回る素晴らしい建物が残っている。それらがただ朽ち、失われていくのはもったいないと思い、歴史的建造物の保存に関わる職業に就きたいと考えました。

Q. 今の仕事の魅力は?
A. 文化的価値の高い歴史的建造物を、後世へ引き継ぐための一端を担うこの仕事は、社会的意義を感じることができます。また、展覧会やイベントも担当させて貰うことで、工事で得た知見を来園者へ発表し反響を得たり、新たな知識の獲得や貴重な資料を間近で見られることに喜びがあります。文化財保存の業界は、女性の進出も顕著。産休を取った後に復帰されている方も少なくありません。

Q. 入学してからの大学の印象は?
A. 建築の知識はほとんどゼロベースのなか入学しているので、すべてが新鮮でした。建築には様々な切り口があることを知って、ふところが深い学問だと思いました。

Q. 日本建築史の研究室を選んだ理由は?
A. 1・2年次の授業ではRC構造の設計を主に学んでいたので、木造建築とはやや距離がありました。とはいえ、街の中には木造建築が溢れていますよね。そこで日本建築史の研究室に入り、木造建築を学びたいと思いました。

WORKS

江戸東京たてもの園 小出邸

小出邸は、1925年(大正14)、小出収とその妻・琴の隠居所として、現在の東京都文京区西片に建設された木造2階建の住宅。屋根の造形や応接間の色彩が目を引くこの建物は、建築家・堀口捨己(1895−1984)がはじめて手掛けた住宅作品。小出邸は、1997年に江戸東京たてもの園に移築、創建当初の様子に復した上で1998年より公開・保存。安藤さんは、雨漏りの修繕工事や耐震補強工事、小出邸の展覧会を担当。