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大学職員として働く

大学業界と職員の役割

大学業界について

大学を取り巻く環境は、年々変化しています。アメリカの教育社会学者 マーチン・トロウは、高等教育は、就学率15%未満のエリート段階、50%未満のマス段階、50%以上のユニバーサル段階へと段階的に拡大すると提唱しました。日本でも大学進学率は50%を超え、すでにユニバーサル段階にあり、学生は多様化しています。

現在の日本には700を超える大学があります。(国立大学約80校、公立大学約90校、私立大学約600校) 戦後の学制改革により新制大学が多数誕生し、高度経済成長期には学生数の急増に伴い、その受け皿となって教育機会の均等に寄与しました。

大学には、学校教育法や大学設置基準などの法令にもとづき、教育情報や財務情報の公表、3つのポリシーの策定、収容定員や成績評価、卒業要件など、あらゆる条件が定められています。また日々の活動においては、文部科学省および中央教育審議会からの答申を踏まえ、より良い教育の在り方を目指した研究・人材育成の実施が求められています。

近年、18歳人口の減少による入学者層の減少、東京23区の大学収容定員厳格化、コロナ禍におけるオンライン授業等、大学業界を取り巻く環境は大きく変化してきました。社会でも、未曾有の災害や戦争、デジタル・AI分野の技術革新など、人々を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。

中世ヨーロッパで世界最古の大学が誕生してから、およそ1000年が経過しました。
不確実で未来予測が難しい現代は、VUCA時代と言われています。大学業界はこれまでも社会が大きく変容するたび、あらたな分野の研究と社会課題への対応に向き合ってきました。現代においても、先行き不透明な時代を生き抜く人材を育成し、学問研究を深めていくことが大学の使命として求められています。

職員の役割

大学の使命を果たすためには、大学を構成する教員と職員との教職協働が不可欠です。
教員が講義や指導、自身の研究活動を通じて大学や社会に貢献する一方、職員は教育環境の整備や、大学運営、経営推進を行います。

工学院大学の事務組織は約20の部署で構成され、その業務は大学の運営企画やIR、教育研究の推進、入試広報、就職キャリア支援、附属校事務など多岐にわたります。大学職員は、学生や教員だけでなく受験生や卒業生、学生の保証人、一般企業や研究機関、メディア、省庁、地域の方など、あらゆるステークホルダーとやりとりを行います。

いずれの部署でも職員に求められる能力は、業務に対し課題意識を持ち、改善に能動的に取り組む主体性と向上心です。またチームワークを大切にし、意見や立場が異なる人々と目線を合わせることができるリーダーシップも重視されます。柔軟性とチャレンジ精神を持ち、複数の部門で活躍できる人材を本学は求めています。

工学院大学のプロジェクト

学生支援課 課外活動支援

学生支援課では、学生たちの学生生活をより豊かにするために、特に課外活動の支援に力を入れています。体育会、文化会などの部活動、自治会や学園祭実行委員などの委員会や、ソーラーチームやみつばちプロジェクトといった学生の自主的創造活動「学生プロジェクト」の活動が活発に行えるよう、日々奮闘しています。
2024年度には、新たな活動支援として、個人・団体問わず申請できる「工学院大学学生チャレンジ活動奨励金」の制度を新設。学生たちの「やりたい、挑戦したい」の気持ちに応えるべく、これからも、学生のチャレンジを応援できるよう、様々なアイデアを日々考えています。

チャレンジ奨励金 募集ポスター

情報システム部 チャットボットを導入

業務のDX化を進める情報システム部。学内課題を分析し、解決に資するシステムを選定し導入します。本学では、時間や人のリソースが費やされてきた窓口/電話/メールの問合せ業務を削減するため、chatbotを導入しました。証明書発行や経理手続き、図書館利用や履修登録など、基本的な質問は365日24時間、chatbotが回答することで、職員が分析・改善業務により多くの時間を費やすことができるようになりました。

チャットボット周知チラシ

国際課 ハイブリッド留学®

留学プログラムの企画運営を行う国際課。工学院大学の独自プログラム「ハイブリッド留学®」は、英語に苦手意識を持つ学生が多いことをふまえ、「まず海を渡る」ことをコンセプトに現地で日本語授業を行う、職員発案のプログラムです。受け入れ先の交渉や協定校連携、募集・実施など、すべて職員主導で実施されています。

ハイブリッド留学 案内パンフレット

企画課 デジタルツインラボの導入

法人・大学の事業に関わる調査、立案を行う企画課では、「国の課題に大学の特色を活かして取り組む」特別補助金の獲得も行います。市場調査や自治体調査等で社会課題を把握し、本学から提案できる教育・研究シーズをもとに、申請手続きを行います。
建築学部の先進的なデジタル教育であるデジタルツインラボの導入は、日本の建築業界が海外に比べてデジタル化が遅れている中、BIM・DX教育を受けた本学の学生が建築業界で活躍する未来を提案し、補助金を獲得した一事例です。

新宿キャンパス「工手の泉(こうしゅのいずみ)」でのBIM授業のようす

入学広報課 SSH指定校合同発表会

魅力ある大学を作っていくためには、理系分野に興味関心のある高校生の受験校候補となる必要があります。入学広報課では、高等学校との連携を重視して、高等学校教育への多様な支援を積極的におこなっています。理数系教育に注力している高校(SSH指定校等)と連携し、高校生の探究活動発表機会の提供などを行っています。

アトリウムで開催されたSSH指定校合同発表会

研究推進課 産業界との産学連携

各教員のもつ研究シーズをもとに企業や商工会議所を訪問し、パートナーシップを提案するなどの連携推進を行っています。一度協定を結んだ企業へも最新のニーズをヒアリングし、新たな共同プロジェクトの提案などから関係強化を図ります。また、学内の研究基盤を強化するための制度設計、基礎研究を活性化させる環境づくりも重要な業務です。
こうして得られた研究成果は外部展示会などで発信し、企業連携による製品化・サービス化、社会貢献を目指します。本学の研究活動を多角的に支援するため、企画、広報、営業の各面で戦略的アプローチを展開しています。

産業展示会での講演のようす

入学広報課 入試・広報戦略の策定

入学広報課では、受験生の高校での成績や履修科目、入学後の成績、退学率、進学率などのデータや、各都道府県・各都市からの出願者データを統計的に分析し、入試・広報戦略の策定を行います。

受験生が選択した受験会場のデータ イメージ