ソーラーチームが「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」に参加、富士川滑空場で走行
本来であれば、工学院大学ソーラーチームは、オーストラリアで世界最高峰のソーラーカーレース「ブリストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)」に参戦し、オーストラリア大陸を縦断している時でした。しかし、コロナ禍で世界大会は中止になり、今年はバーチャルプログラムとして開催されることになりました。
現地で開催されていればまさにレース初日にあたる10月11日から2日間にわたって、静岡県富士川滑空場で走行しました。今回の走行は、BWSCのバーチャルプログラムに参加するデータを取得するために行われました。
ソーラーチームが参加する「Telemetry Challenge」には、世界各国から10大学以上が参加。各チームが2日間かけてソーラーカーで1日あたり5時間以上走行し、そのタイムや移動距離、ソーラーパネルやバッテリーの累積エネルギーなどのデータを提出します。互いに閲覧したり、アナリストとして分析・レポートを作成したりすることで、刺激し合い高め合うことを目的としています。
ソーラーチームは前泊して現地入りし、11日の早朝から走行を行いました。今回の「Telemetry Challenge」では、工学院大学ソーラーチームは通常のデータではなく異常を想定したデータの提出をして、今後のレースへ活かしたいと考えています。
前回のBWSCではモータ故障が発生し大きな時間のロスになりました。今後のレースでモータの故障が発生しない方策を練るために、モータに負荷を与えられるコースで耐久試験データを測定しました。また、このような異常データを「Telemetry Challenge」へ提出することで,他のチームが参考にしてくれると考えています。
1日目、ストップ&ゴーを繰り返すモータに負担がかかるコースにて走行を開始。低回転と高負荷時に効率が悪い特性をもつアモルファスコア(鉄心)をもつモータに負荷を与えていきます。加速と回生を繰り返しのみでモータが冷えるタイミングがなく、スタートから2時間半でモータの故障が出ました。この異常データを活用すれば、今後のオーストラリアで坂道や渋滞が多い箇所でのドライバーの走行方法、かつモータ異常の発見を早く気が付くことができます。
2日目、モータを交換して、モータの耐久試験が行われました。モータに取り付けた温度センサーを見ながら、加速や回生ブレーキ、モータへの空冷を行い、モータ異常を出さない条件の走行方法を見つけていきました。タイヤがパンクして交換する場面もありましたが、順調に試験走行を続けて有意義なデータを取得しました。
コロナ禍で実践の機会が多くない中で、今回の走行は学生たちにとって貴重な成長の機会となりました。大会に提出したデータはアナリストたちによって分析・評価され、10月26日~28日の期間には一般の人々が「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」WEBサイトでデータ分析の結果を閲覧できる予定です。