ソーラービークル研究センターとEKO、オンライン教育プログラムを始動

2021 / 11 / 08

工学院大学総合研究所ソーラービークル研究センターは、英弘精機株式会社(以下EKO)と「EKO | EMPOWER 未来オンライン教育プログラム」をスタートしました。このプログラムはモビリティ開発を担う人材を育成し、SDGs 4番「質の高い教育をみんなに」、7番「 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に貢献することを目的としています。

取り組みの第1弾として、EKO環境機器事業部の方々が講師となり、モビリティ社会の実現や次世代電気自動車の開発に必要とされる気象・環境センシング技術について、オンライン講義を行っていただきました。講義は3週連続で週1回行われ、工学院大学ソーラーチームの学生や附属中高自動車部の生徒たちが参加しました。

初回講義のテーマは、「気象と熱の関係」。太陽が私たちの生活にもたらす影響を、気象や住まいの環境など具体例を交えながら解説していただきました。講義の後半では、車内温度や車内の性能にも太陽の熱が大きな影響を与えていることが触れられ、日射や熱変化を計測する機器についても紹介がありました。ソーラーカーについて学び始めた中高生から大学生まで、実体験に落とし込みながら太陽エネルギーについて学びを深めました。

2回目の講義テーマは「太陽電池 今昔物語」。太陽電池の起源から未来まで、多くの事例や写真を交えて教えていただきました。太陽電池につながる「光起電力効果」がフランスで発見されたのは、江戸時代にまで遡ります。その後、人工衛星やソーラーカー、電卓など太陽電池を利用した様々な技術が開発されました。工学院大学ソーラーチームが2013年から参戦している世界最大級のソーラーカーレース「ブリヂストンソーラーチャレンジ」は、1987年に初めて開催されてからソーラーカー業界の発展に寄与してきました。
さらに、今後の可能性として太陽電池を搭載したスマートフォンや実用的なソーラーカー、宇宙太陽光発電などが紹介されました。

最終回は、「ソーラーカーと気象センシング」がテーマで、ソーラーカーの性能と気象センシング技術の関係について、解説していただきました。太陽電池はエネルギーの変換デバイスであるため、その評価には入口(光)と出口(電力)で適切な計測を行う必要があることが様々な事例や表を交えながら説明されました。ソーラーカーレースにおいても日射強度や雲、砂嵐などの気象環境、性能劣化や故障が大きく影響するため、センシング技術を用いて常に最適なエネルギーマネジメントを行うことが不可欠です。

最後には、近未来に国内で販売が予定されているソーラーカーや、すでに海外で販売され普及し始めているソーラーカーの事例が紹介され、次世代自動車が普及していく中でソーラーカーを含む電気自動車の開発がますます重要になってきていることが伝えられました。
講義はクイズを多く交えて進行され、学生・生徒たちが今後の次世代モビリティ開発と抱える問題点について深く考えるきっかけとなりました。

3回の講義を通して、太陽電池やソーラーカーの技術は急速に発展し社会に普及してきたことが語られましたが、その一方で、現在も価格やリサイクル性、天候の影響、車両の航続距離など様々な課題を抱えていることも伝えられました。将来の科学者・研究者たちがこれらの問題を解決することを期待し、プログラムを通して、未来ある学生・生徒たちへ激励の言葉がおくられました。

ソーラービークル研究センターで受講するソーラーチームの学生たち
附属中高自動車部の生徒たちは教室に集まって受講した

今回の講義のようすは、EKOのYouTubeチャンネルでも公開されています。ぜひご覧ください。

英弘精機株式会社

英弘精機は90年以上にわたり、再生可能エネルギー、環境気象計測、および物性分析分野において優れた製品の販売及びサービスを提供、高品質と高い信頼性で社会に貢献してきました。英弘精機で設計、製造された計測機器は現在、世界各国に展開されており、継続的な革新、業界をリードするターンキー製品、そして妥協のない品質へのこだわりにより、環境研究や再生可能エネルギーに関連する様々なプロジェクト、および物性分析関連の研究や技術開発をサポートしています。
英弘精機は、公的な試験結果を得るために行なう試験プロセスや、公的な校正結果を得るために行う校正プロセスを、国際的に認定するための基準として用いられる規格であるISO/IEC17025に関して、2013年に液体の粘性試験及び回転粘度計の校正、直達、全天、および小型日射計の校正について認定を取得し、パートナーやお客様にEKOの計測機器と校正方法の精度と信頼性に付加なる確実性を提供しています。

スポンサーシッププログラム「EKO|EMPOWER」

EKOは、「2019ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」での工学院大学ソーラーチームへの支援をきっかけに、2021年3月にこの支援プログラム「EKO|EMPOWER」を立ち上げました。現在EKOは、技術や環境計測機器の提供を通じて、世界各国から6つのソーラーカーチームを支援しています。「EKO | EMPOWER 未来オンライン教育プログラム」は、より良い持続可能な未来を築くために、日本の次世代の科学者やエンジニアの目標達成やアイディアの発展を応援する次のステップとして、工学院大学とともにスタートします。