工学院大学とは地震・災害に強い社会を創る

「あなたの思い出まもり隊」プロジェクト

“現地へ行けなくても復興の手助けをしたい“と考える人の気持ちをカタチにしたい・・・そんな熱い想いが「被災した写真を修復する」ボランティア プロジェクトを立ち上げました。

活動の概要

「あなたの思い出まもり隊」は、東日本大震災で海水や泥で汚れてしまった写真を修復するボランティア プロジェクト。被災地でのボランティア活動として泥をかき出しているとアルバムや写真が出てきて「さまざまな思い出が詰まっている写真をどうにか修復できないか」という現地のニーズと、「現地へ行けなくても復興の手助けをしたい」と考えるたくさんの人たちの気持ちをつなぎたい。それがプロジェクトの起点でした。母体になったのが、工学院大学・神戸学院大学・東北福祉大学が連携して立ち上げた社会貢献学会。うち、被害のなかった工学院大学と神戸学院大学を中心に、ボランティアと協働で写真の修復を進めていきました。

メンバーは学生や教職員、任意で参加している社会人など、これまでに183名が参加。写真修復可能かどうか確認したものは26,128枚。延べ活動時間は約4,200時間にもなりました。修復可能な写真をすべて返却し、2016年、2月をもち活動に幕を閉じました。

活動概要紹介動画

修復方法


修復作業は、被災地から送られてきたアルバム写真を1枚ずつ確認し、丁寧にはがすことから始まります。まず、修復可能なものとそうでないものに分け、その後スキャニング作業を行い、しみや汚れ、破れを画像処理ソフトを用いて補修。そして新しい写真として蘇生させていく作業の繰り返しです。
「写真を修復する」といっても、失われた画像情報そのものを蘇らせるのではなく、あくまで残された周辺の画像を手がかりにきれいに加工するというものですが、その工程は地道で、中には1枚を修復するのに数時間を要するものもある、時間と根気が必要とされる作業です。このような丁寧な作業工程を経て、被災地から送られてきたアルバムは、1〜2ヵ月程度で修復され、被災者の元へ戻されます。

活動当初は、写真の修復作業についてのフローもノウハウも丸っきり何もない状態から試行錯誤しながら始まりました。被災地から送られてくる写真の洗い方、写真をスキャンし、撮影を行い、修復用のデータにすることなど、さまざまな作業を試しながら手探り状態で進めました。協賛企業の方を招き、写真修復のやり方を学んで、この活動が徐々に軌道に乗り始めました。


この活動の肝は、やはりパソコン上での写真修復作業。それが一番大変でした。写真1枚の修復に5分〜10分で終わるものもあれば、一日かけても終わらないというものまでさまざま。さらに、ボランティアのパソコン操作レベルもまちまちで、非常に大変な作業を約5年間続けました。ボランティア活動はどこかに無理が生じると続かなくなります。そういう意味では、協賛企業に恵まれ、活動を応援する声も、そして、被災地の修復写真を返却した方々からの御礼の手紙やメッセージが励みになりました。

南三陸町の依頼者に修復した写真を届ける

依頼者からの御礼の手紙


「あなたの思い出まもり隊」の活動は「現地に行けなくても復興支援をしたい」という特性上、ストレージサービスも活用し、日本全国、自宅でもボランティア参加が可能になっており、修復できた写真は依頼者にお送りするフローを取っていました。被災地の依頼者とボランティアのメンバーのお互いの顔が見えない、特殊で先進的なボランティア活動です。ボランティアのメンバーは感謝されることを目当てに活動しているわけでは決してありませんが、ITを駆使し、日本全国どこにいても参加できるボランティアだからこそ、「自分たちが携わったものがその後どうなっていくのか」、「自分たちの活動が復興支援として役に立っているのか」がわからないと、継続が難しいことを実感しました。それだけ時間と根気を要する作業だったからです。

2012年の夏に、ボランティアの実感を持つため、修復した写真を宮城県南三陸町の依頼者の方へ直接、お届けに行きました。依頼者の方々からは御礼や感謝の言葉をいただくとともに、明るい笑顔になっていただきました。その光景を見た時「あなたの思い出まもり隊」の活動の意義を実感し、膨大な写真修復作業への大きな力になりました。

修復マニュアル


写真の修復作業は写真の洗浄から破損部分のレタッチまで高度な技術が必要とされ、まったく経験のない人には難しい作業。さらに、1つ1つの作業に時間を要し、プロジェクトに参加するボランティアの技量によっても、修復可能かどうか判断も主観的になってしまうため、修復の質の統一をめざして、作業マニュアルを作成しました。
作業マニュアルは何度もバージョンアップを重ねました。今後、地震による津波の災害だけでなく、台風や大雨などの災害も含め、同様の活動を希望する人たちがスムーズに作業を行えるよう、無償で提供しています。
そしてさらに、作業マニュアルは追加・修正を容易に行えるようにして、必要があれば活用し、バージョンアップしたものを共有していくということを考えています。そうすれば、いざというときに使いやすいものになる。平時でのネットワーク作りが、災害時のいざというときに活きてくると思うからです。

あなたの思い出まもり隊 作業マニュアル(9.30MB)

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東日本大震災の時も、「被災地には行けないが、何か自分にできることはないか」という声は日本中で多く挙がりました。「あなたの思い出まもり隊」は被災地に赴きボランティアを行うことは難しくても、何か役に立ちたいという人に対して、新しい復興支援の形を確立させました。
  • 参加ボランティア数:183名
  • 延べボランティア活動者数は1,330名
  • 写真修復応対枚数(修復可能か否かを確認したもの):26,128枚
  • 延べ活動時間4,200時間36分
  • 協賛企業(順不同):
    セイコーエプソン株式会社/アドビシステムズ株式会社/日本ヒューレット・パッカード株式会社/株式会社ニコン/ナカバヤシ株式会社/株式会社リコー/株式会社コンプラス/アマナグループ/一般社団法人日本写真エージェンシー協会(JPAA)/ソニー株式会社
※記載実績は、工学院大学の実績

【プレスリリース】2/16(火)「あなたの思い出まもり隊」活動報告会を開催しました

写真修復までの主な手順

1.修復作業は、希望者から送られてきたアルバムの状態を記録することと、修復可能かを判別する作業から始まる

2.写真の状態をデジカメで1枚ずつ撮影

写真がどの場所に貼ってあったか、アルバムの写真位置等も含めて記録していく。
原型をとどめていないものや人の顔が完全に消えてしまっているものは修復が困難のため、修復可能か否かを判断し状態別に付箋をつけ分類。

(分類)

  • Photoshopで修復可能→黄色の付箋
  • スキャナーの補正機能だけで修復可能→青色の付箋
  • 修復不可能:赤色の付箋 

3.ボランティアの学生達がアルバムを1ページずつ、ていねいに砂ボコリや汚れを落としていく

写真によって、洗浄可能なものと不可能なものがある。主に家庭用のインクジェットプリンターで印刷した写真は洗浄できるものが多いが、ポラロイドやチェキなどの写真は写真背面が水濡れするため洗浄が難しい。また、インクジェットプリンターには染料系と顔料系のインクがあり、染料系で印刷されたものは長時間水につけるとインクが流れてしまうため手早く清掃しなければならないなど、作業の経験から得た注意点等がマニュアルに記載されている。

4.洗浄した写真を乾燥させた後、スキャナーで読み取りデジタルデータ化する

デジタルデータはプロの現場でも使用されている「Photoshop CS5」を使用し、1枚ずつレタッチで修復。

5.修復された写真はプリントされ、簡易アルバムにして修復依頼者に送られる

依頼者の希望に応じて、デジタルデータをそのままメディアに焼いて送るといったことにも対応する。
石巻白浜地区復興住宅
あなたの思い出まもり隊
ダンボールシェルター
災害時のペットとの共棲を研究
本件に関するお問合せ 総合企画部広報課
E-mail: gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp TEL:03-3340-1498

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