学生の様々な成果をご紹介

工学院大学で行われている様々な活動や製作した作品などをご紹介いたします。
授業、実習や研究などが日々行われている中で、
どのような過程で取り組み、学生や教員がどのように考えているのかといったことを、
展示を通じてご覧いただければと思います。

建築学部 建築デザイン学科 
冨永研究室
2017.03.17~

展示概要について

冨永研究室の「住宅研究ゼミ」では、毎年、3年生が1/20スケールの戦後の名作住宅模型の製作に取り組みます。
1/20という縮尺は、建築家の設計思考と工事過程を追体験するのにちょうどいいスケールです。
建築の翻訳ともいえるこの作業を通して「実物大のものとしての建築」を体得することが、この実習の狙いです。

展示作品のご紹介

今回の模型製作の対象は戦後の住宅建築ということだったので、メンバーで好きな住宅を複数挙げ、話し合った結果、メンバーの一人が以前に行って感銘を受けた旧井上房一郎邸に決まりました。他にも名作と言われる住宅建築も多く候補に挙がっていたのですが、戦後の建築にもかかわらず実物が現存していて、実際に調査に行けるという点が、旧井上房一郎邸に決定した大きな理由です。

建築学部 建築デザイン学科
西村 ひかる

建築学部 建築デザイン学科
大滝 拓人

建築学部 建築デザイン学科
仲間 剣

旧井上房一郎邸は、群馬県高崎市の文化振興に大きく貢献した井上房一郎の自邸として建てられました。旧井上房一郎邸は、井上が感銘を受けた建築家アントニン・レーモンドの自邸を模倣して建てらてたものです。その為、レーモンドの建築スタイルが随所に表れており、彼の手法を現在に伝える貴重な建築物として位置付けられています。戦前・戦後を通じて交流した井上とレーモンドの友情の証でもあります。
旧井上房一郎邸は、模型を製作する際に必要な図面等の資料が見つからなかったため、実際に旧井上房一郎邸に伺い、実測調査を行うことで模型製作するための情報を集めました。実測調査をしていくと、思った以上に計測する箇所が多く、5人がかりで丸一日かかってしまいました。しかし、丁寧に実測していくことで、レーモンドが素材、色、スケール感など、細かいところまで、こだわりを持って設計していることがわかりました。時間をかけた分、得られたことも多い調査だったと思います。
実測調査で得られた情報を元に模型を製作していきました。模型は、1/20という建築模型としては、かなり大きい縮尺だったので、細かい部分まで再現する必要がありました。そのため、各部の素材感や色味は何度も実験を重ねながら決定していきました。この様に細部までこだわりながら製作していき、三か月弱と短い期間の中で、実物に近い旧井上房一郎邸を再現できたと思います。
1/20というスケールで模型を製作していると、建築は小さな部分の組み合わせで形作られているということを実感しました。そして旧井上房一郎邸は、そういった小さい部分までこだわりを持って作られていて、その点が名作といわれる所以だと感じました。また模型を製作しながら、メンバーとお互いに意見をぶつけ合い、考えを深められたことも大きな学びになったと思います。
授業で戦後の有名住宅を学ぶ授業がありました。その際に脇田山荘の内観の写真の雰囲気と建具の細部に班の一人が一目惚れし、班のメンバーでいくつかの候補が挙がった中で、みんなの意見が一致し、脇田山荘に決まりました。決まったと同時に規模の大きい住宅であったため心が折れそうにもなりました。

建築学部 建築デザイン学科
芦野 稜太

建築学部 建築デザイン学科
日下 あすか

建築学部 建築デザイン学科
飯塚 彬

建築学部 建築デザイン学科
齋藤 暢大

建築家の吉村順三が1970年に長野県軽井沢に設計した、西洋画家である脇田和画伯のためのアトリエ付き住居です。庭にある木を囲むようにくの字型の建物になっています。軽井沢はとても湿気が多い環境のため、居住部分を2階にして、一階の基礎部分はコンクリートで設え、対候性を持たせています。庭に向いた2階の窓は、建具がすべて壁に引き込まれるようになっていて、室内と室外が一体となる仕掛けになっています。脇田山荘は各々の空間で一番心地良いと思える景色から建物のプロポーションの詳細を決めているのが特徴です。
脇田山荘へは、脇田和さんのシンポジウムの時に住宅見学をしました。個人住宅の見学は難しく、素晴らしい住宅を見られたのはとても幸運でした。実際に脇田山荘を見てみると、写真や模型で見るよりも小さい印象を受けました。それは吉村氏の設計手法でもある身体スケールに合わせた天井の高さや空間の作り方によるものでした。また建物に入ると青、紫、赤とたくさんの色が空間を構成しています。しかし派手な印象はなく、とても落ち着く空間で、画家である脇田氏と吉村氏の設計手法が合わさって生まれた現代でもモダンに感じる建物でした。
制作期間は2016年9月15日から11月末までの約3か月間でした。こだわった点は1/20と比較的縮小率の低い模型であったため、細部である開口部や階段、スケールと材料の質感を合わせるための素材選びにこだわりました。特にこだわった点は建具がすべて壁に引き込まれるようにしている点です。また、困難を感じた点は脇田山荘に関する資料は幾つか見つけることができましたが、プライベートの部分は実測調査でも明確化出来ず、吉村氏と仕事で携わっていた人の話をベースに模型で再現した点です。
今回、脇田山荘を1/20スケールで作りこんだことにより、図面上の数値が具体的な大きさとしてより身近に感じられるようになったことや、建物の仕上げや納まりなどを作りながら学べたことが大きいと考えています。また、3ヶ月間班員4人で真剣に取り組み続けたことで、住宅建築に対する理解だけでなく、お互いの理解も深められたことが何よりの達成感につながっているのだと感じています。

教員コメント

冨永 祥子 教授
(建築学部 建築デザイン学科)

1/20模型の製作とは、文学における翻訳のようなもので、建築家の思考過程・手法と自分のそれとを重ね合わせることに大きな意味があります。写真資料のない箇所等は「この建築家ならこう判断するだろう」という推測をもとに作っていますが、学生たちが翻訳作業を通して見事に表現したことは成長の証しだと感じます。授業の設計課題と並行して進める作業は、時間的・体力的にも大変だったはずですが、ギリギリまでこだわり抜く粘り強さに感心しました。このゼミで培った「スケール・素材・ディテール」への執着心が、うまく設計課題の内容に反映できた学生もおり、その相乗効果を感じています。「実物大としての建築」を体得できる教育を目指したいと考えています。

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