久田嘉章教授(まちづくり学科)が、東京都主催の耐震フォーラムで基調講演

2019 / 10 / 25

10月25日(金)、東京都が2019年度耐震キャンペーンの一貫として主催する「耐震フォーラム」において、久田嘉章教授(まちづくり学科)が基調講演を行いました。

「逃げる必要のない建物とまちを目指して~自助・共助のためにできること~」のタイトルで行われた基調講演は、台風19号による避難・被害の振り返りから始まりました。

「大規模水害の可能性がある場合、下町の江東5区では広域避難を行う予定でした。しかし、直前まで特別警報が出ず、しかも避難先を含む広大な地域が一斉に対象になり、予定は全く実行できませんでした。」
「震災も同様ですが、1300万人の東京都民が一斉に逃げる場所などはありません。大規模災害には、覚悟を決めて”逃げる必要のない対策”の実施が不可欠であることがはっきりしたと思います。」と久田教授が振り返ると、会場には緊張感が漂いました。講演は、「今日は震災が対象ですが、自助・共助でそれが殆どの場合は実現可能だという話をしたいと思います」との言葉で本題に入りました。

過去の地震被害の教訓から、建物の耐震基準は徐々に進化し、最新の基準では建物が倒壊する可能性は殆どないことが解説されました。耐震等級3や免震などで耐震性を高め、室内の安全対策を講じ、1週間分の備蓄などを用意すれば、”逃げる必要のない建物”は実現可能なことを述べると、会場では大きくうなずいたり、真剣にメモを取る様子が見られました。地域に被害が出た場合は、共助による初期消火や救援救護活動が重要になることも、久田教授は強調しました。

最後に、レジリエンス(失敗・災害などから立ち直る能力)にも触れました。事前のハード的な防災対策と、被害が出た場合のソフト的な減災対応を計画し、自助・共助での実践的な防災訓練を実施し、検証・改善を続けることが効果的で、北区住民や新宿駅周辺地域の事業者による活動事例を紹介して、講演は終了しました。