構造体コンクリートの船出を現場でチェック!

掲載日:2011/10/17

ポンプ打設

ポンプ圧送されるコンクリートの打設状況

 今日は,現場にいる皆様のご協力のもと,新総合教育棟の構造体に使用するコンクリートの採取(第1回目)を,田村研究室・卒論生である岡君とともに行いました。地球材料であるコンクリートに愛着を持ち,日々その存在に感謝をしながら日常を送っている私としては,この瞬間は,あえて例えれば,すくすく成長しつつある赤ちゃんを保健所につれてきて,保健婦さんに定期健康診断をしてもらっている赤ん坊を見つめるママ(パパ)の気分?であり,かなりドキドキが混じります。

 実際に,その場で判定されるまだやわらかいコンクリートの諸物性(打設しやすさの尺度となるスランプ値,コンクリート中に含まれる空気量ほか)は,日本工業規格(いわゆるJIS)の基準を満足する必要があり,満足しない場合は,建築基準法の第37条の要件に合致しない不良なコンクリートと見定められてしまいます。また,硬化した後のコンクリートについても,所定材齢で圧縮強度試験を行い,基準とする強度が得られているかをしっかり検査・判定されるのです。

 しかも,これらの検査は,自分でやって,自分で勝手に評価をしては駄目なのですよ。第三者である指定確認検査機関により評価される必要があるのです。構造体コンクリートの最初の船出の大きな関門といえましょう。

 建築というものは,「巨大物品・単一生産品」で,他産業分野によく見られる「小物品・大量生産品」と相違し,ひとつひとつの建物が無事生まれてくるために,最初で最後の勝負を施工現場で常に繰り返しています。そのために大切なことは,建物の要素となるひとつひとつの材料や部材の品質をくまなく現場で見てあげることです。そうすれば最終的に,何十年・何百年という構造体の物理的寿命を保証することができ,建築として巣立つ第一歩を踏み出すことができるのです。

・・・岡君,今日はご苦労様でした。春からは希望の現場施工の仕事ですね。腕をふるってください。

田村雅紀・建築学部建築学科 「建築材料担当」

 

コンクリート供試体の確保

研究室・卒論生の岡君−緊張の作業−

 

供試体詰め込み

強度検査用・構造体コンクリートの採取

 

コンクリート確認

フレッシュ性状の確認よし!

岡君の今日のコメント:

「忙しい卒論の研究が激しさを増す時期となってきました。現在コンクリート関連の研究をしており、総合教育棟の施工現場でコンクリートを採取する貴重な機会を得ることが出来ました。現場の方々の前で採取作業をしていると、自分の作業が正しいのか不安になりましたが、無事に作業を終えることが出来ました。施工現場は、工期という時間の制約の中で作業をする緊張感と,職人の方の活気に包まれている場所だと強く感じます。今回の経験はとても貴重なものであり、ますます建設業の対する好奇心と遣り甲斐が強くなりました!私も春からは,筋の通った現場マンを目指します。」

 

 

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