掲載日:2012/05/17

 建築学部 建築学科准教授(構造担当)の山下哲郎です。

 5月1日4限、5限の建築入門の授業では、建築学部1年生に向けて、総合教育棟設計者の(有)千葉学建築計画事務所主宰、東京大学大学院准教授の千葉 学先生が総合教育棟をメインに建築の設計について語って下さいました。

 

 教室、研究室、事務室などさまざまな側面のある総合教育棟ですが、それらを平面的だけでなく高さ方向にも差異をもうけて空間の性格を明らかにする一方で、学生や教職員が一堂に会する広場と、パッサージュと呼ぶお互いに様々な活動の感じあえる都市的路地空間を導入して大学らしい人の集まり方を実現しよう、との考え方で設計されたそうです。また免震構造として防災拠点としても機能するよう設計されています。

 

 コンペ当選案である総合教育棟ですが、検討期間の1か月半で事務所の皆さんと数十種類の模型を作って検討されたそうで、すべての模型を並べた映像に学生は圧倒されていました。あらゆる可能性を検討する中で、「これでいける」と確信が持てる案ができる瞬間があるそうです。

 

 講義では総合教育棟のほか、盲導犬の育成施設である日本盲導犬総合センター(2009年度日本建築学会作品賞受賞)など、千葉先生の魅力的な作品とそれらを生み出した考え方がわかりやすく説明されました。まだ本格的な設計の授業が開始される前ですが、建築の設計が表面的に「おしゃれでかっこいい建物」を作ることとは次元の違う仕事であることが1年生にも理解できたのではないでしょうか。

 多忙な中ご講演いただきました千葉学先生、ありがとうございました。

講演の様子

たくさんの模型!

ページの先頭へ

掲載日:2012/02/14

 総合教育棟の構造設計を担当した金箱温春(かねばこよしはる)です。金箱構造設計事務所を主宰し、さまざまな建築の構造設計を行ってきています。本年4月より建築学部の教授として着任することになりました。構造設計の役割・魅力・考え方を、構造専攻の学生だけではなく、建築を目指す多くの学生の皆さんに伝えたいと思います。

 

 総合教育棟の構造計画の特徴を説明します。免震構造については既に山下先生の説明がありますので、上部構造の特徴を紹介します。

 建物は地下1階では一体の構造ですが、1階から4階では4つのL型の平面に分かれた建物になっています。4つの建物は右上から時計回りにA棟、B棟、C棟、D棟と呼んでいます。図1は2階床の構造図を示したものですが、通常の建物とはかなり異なった構造形式となっています。屋根や床を支えているのは鉄筋コンクリート造の壁(厚さ30cm〜40cm)と鉄骨造の柱(1辺15〜20cmの正方形断面)で、通常の建物にあるような太い柱はありません。図中の赤い太線が鉄筋コンクリート造の壁、小さな□印が鉄骨柱です。A棟、B棟では研究室の隔壁が鉄筋コンクリートの壁となっており、また、C棟、D棟では講義室の周りを鉄筋コンクリート造の壁と鉄骨柱が取り囲んでいることが分かります。この特殊な構造は、免震構造を採用したことにより可能となったものです。

 床や屋根の構造にも特徴があります。A棟、B棟は現場で型枠を組み配筋をして鉄筋コンクリートスラブを作るという一般的な方法です。C棟、D棟は特殊な工法で、図1の青に塗られた部分をプレキャストコンクリート構造としています。外周部にプレキャストの梁を配し、内部は幅1.5mのリブ付きプレキャスト版を並べ、その上に10cmの厚みのコンクリートを打設して一体化します。プレキャストの梁、床版は工場で製作し、現場に運搬して組み立てます。写真1は工場で製作した梁の状況、写真2は現場で組み立てられた床版の状況です。この方法によれば、スパンの長い梁や床を高強度のコンクリートとプレストレスの効果により小さな断面で作ることができ、現場での型枠作業を省くことにより工期短縮も可能となります。リブ付きのプレキャスト床版は、建物が完成するとそのまま天井面の仕上げとなるもので、リブの形状は意匠的な面も考慮して決定しました。D棟の最上階は最も大きな講義室とでスパンが18.2mあり、この部分の屋根のプレキャスト版はリブの高さが80cmと最も大きくなっています。

図1 2階伏図

写真1 プレキャスト梁

写真2 現場で組み立てられたプレキャスト床版

ページの先頭へ

掲載日:2011/12/10

 建築学部建築学科教授(建築生産分野担当)の遠藤和義です。

 今回は建築学科主任としての報告です。

 現在建設中の八王子キャンパス総合教育棟の構造設計を担当された金箱温春(かねばこよしはる)氏が、来年4月より本学建築学部建築デザイン学科の特別専任教授に就任されることが決まりました。

  金箱氏は、これまでにも著名な建築家とのコラボレーションで、多くの優れた建築作品に関わり 、(社)日本建築構造技術者協会会長も務めるわが国を代表する構造デザイナーです。

 本学では、「建築設計」「鉄骨構造」等の講義をご担当いただく予定です。

 総合教育棟という生きた教材に加えて、金箱氏の就任は学生諸君にとって大きな刺激となるでしょう。

 なお、就任に向けた抱負、総合教育棟の構造設計の解説等をお願いしております。来年早々にもアップする予定ですので、皆様楽しみにお待ち下さい。

現場には600トンメーター!の大型タワークレーンも設置されました

ページの先頭へ

掲載日:2011/11/25

原副所長〜当時を思い出しながら〜

1991年建築学科卒業の原です。 現在、私はこの作業所に副所長として配属されています。

卒業して直ぐに研究室が無くなってしまった事もあり、この八王子キャンパスは 20年ぶりとなります。 当時は、スチューデントセンターに学生寮、現在の総合教育棟に食堂や厚生棟があり 学生寮に入っていた私にとっては、学内でも非常に思いでのある場所での工事と なります。 母校の工事に携わる事が出来るのは極めて稀な事で、名誉ある事だと感じています。 多くの先輩、後輩たちが注目する中、20年ぶりの成長した自分の全てを出し切って 工事管理にあたりますので、9か月後の成果を見てください。

懐かしい八王子の地に来て、学生時代を思い出すことが多くなりました。 私の学生時代は、友達の研究室の紹介で、OBの方が立ち上げた計測会社で、毎日の ように工事現場にアルバイトに行っていました。 (今は、学生がアルバイトで工事現場に入ることは出来ませんが。。。) その中で、ゼネコンの担当者や職人さんと接しているうちに、この世界に自然と 飛び込みました。 なんといっても、自分達の成果が形になっていくと言うのに魅力を感じたのです。 就職してもこの魅力は失われる事無く、20年が経ちました。 当社のキャッチコピーに「地図に残る仕事」と言うのがあります。 この言葉通り、自分の携わった建物が形になり、地図に残るたびに、自分の心の地図 にも工事の思い出が残り、そして故郷のようになっています。

この「ものづくり」の魅力を今回の総合教育棟の工事で、皆さんに少しでもお伝え 出来ればと思います。 スチューデントセンターからは現場を一望する事が出来ます。 建物が出来上がっていく姿を目の前に、私たちと一緒にものづくりの楽しさを味わっ て下さい。

「まず確認」大成建設の皆さん

総合教育棟も紅葉真盛り

ページの先頭へ

掲載日:2011/10/30

 建築学部建築学科教授(建築生産分野担当)の遠藤和義です。

 いよいよ現場では免震装置を設置する工事が始まりました。

 少々気が早いですが、来年春休みにインターンシップと技術センター見学会企画します。

 インターンシップは1、2年生を対象に4名程度で来年1月末に、希望者に面接をして決定します。

 技術センター見学会は2月初めに企画しようと考えています。場所はJR東海道線東戸塚駅が最寄り駅となります。1月に入ったら最大40名を全学科、全学年を対象に募集します。応募者多数の場合は抽選とします。

 これらの募集の詳細は、このブログ上で告知しますので、チェックして下さい。

現場では免震装置の設置が始まりました。

ページの先頭へ