掲載日:2011/11/25

 建築学部建築学科教授(建築生産分野担当)の遠藤和義です。

 八王子キャンパス総合教育棟新築工事を施工している大成建設さんの種元所長をお招きして、第一回現場塾「工事現場の見かた プロジェクトマネジャーは何を考えているか」が11月25日午前に開催されました。

 種元所長からは、設計者の意図をうけとめ、現場のマネージャーがどのように工事を計画し、それを実践する中で改善し、建物を造っていくか、とても丁寧にかつ熱く語っていただきました。

 最近の人材育成のキーワードである「人間力」、「コミュニケーション能力」の大切さを実感できるお話しでした。ありがとうございました。

 また、本学OBの原副所長からも後輩である聴講者に思いやりのあるエールをいただきました。

 第二回も企画しますので、楽しみにしていてください。

 

2時間目のクラスで質問に答える種元所長(右)、原副所長(左)

(例えば、千葉 学先生は現場に来られるのですか?

学生はお話しを聞いてみたいようですよ、千葉先生!)

 

ページの先頭へ

掲載日:2011/11/25

原副所長〜当時を思い出しながら〜

1991年建築学科卒業の原です。 現在、私はこの作業所に副所長として配属されています。

卒業して直ぐに研究室が無くなってしまった事もあり、この八王子キャンパスは 20年ぶりとなります。 当時は、スチューデントセンターに学生寮、現在の総合教育棟に食堂や厚生棟があり 学生寮に入っていた私にとっては、学内でも非常に思いでのある場所での工事と なります。 母校の工事に携わる事が出来るのは極めて稀な事で、名誉ある事だと感じています。 多くの先輩、後輩たちが注目する中、20年ぶりの成長した自分の全てを出し切って 工事管理にあたりますので、9か月後の成果を見てください。

懐かしい八王子の地に来て、学生時代を思い出すことが多くなりました。 私の学生時代は、友達の研究室の紹介で、OBの方が立ち上げた計測会社で、毎日の ように工事現場にアルバイトに行っていました。 (今は、学生がアルバイトで工事現場に入ることは出来ませんが。。。) その中で、ゼネコンの担当者や職人さんと接しているうちに、この世界に自然と 飛び込みました。 なんといっても、自分達の成果が形になっていくと言うのに魅力を感じたのです。 就職してもこの魅力は失われる事無く、20年が経ちました。 当社のキャッチコピーに「地図に残る仕事」と言うのがあります。 この言葉通り、自分の携わった建物が形になり、地図に残るたびに、自分の心の地図 にも工事の思い出が残り、そして故郷のようになっています。

この「ものづくり」の魅力を今回の総合教育棟の工事で、皆さんに少しでもお伝え 出来ればと思います。 スチューデントセンターからは現場を一望する事が出来ます。 建物が出来上がっていく姿を目の前に、私たちと一緒にものづくりの楽しさを味わっ て下さい。

「まず確認」大成建設の皆さん

総合教育棟も紅葉真盛り

ページの先頭へ

掲載日:2011/11/15

 建築学部建築学科教授(建築生産分野担当)の遠藤和義です。

 八王子キャンパス総合教育棟新築工事を施工している大成建設さんの種元所長をお招きして、第一回現場塾「工事現場の見かた プロジェクトマネジャーは何を考えているか」を開催します。

 日時は以下の通りで、遠藤和義担当の「建築施工」の講義中に行います。

 履修している2年生以外も、時間の空いている学生諸君(他学科、大学院生も歓迎)は積極的に参加して下さい。なお、下記2回は同じ内容となります。

第1回

日時:11月25日(金) 10:00-10:50 教室:八王子キャンパス3号館103教室

第2回

日時:11月25日(金) 11:00-11:50 教室:八王子キャンパス3号館103教室

ページの先頭へ

掲載日:2011/11/10

建築学部 建築学科准教授(構造担当)の山下哲郎です。

 

基礎の上に免震装置の設置がはじまりました。今後30年以内に南関東に直下型大地震が発生する確率は70%以上という予測がなされている中、今回の設計に採用されたのが「免震構造」です。

 

免震構造は、基礎と建物を切り離してしまい、間にアイソレーター(Isolator:Isolateは切り離す、の意味)という水平方向に柔らかい装置を入れ、地震による激しい地面の揺れが建物に直接伝わらないようにする画期的な技術です。アイソレーターは建物の重量を支える役割も担うため、ふつうは柱の下に設置され、薄い鉄板と天然ゴムを何層にも重ねて作られています(「ミルフィーユ」というケーキと同じ構造)。こうすることで、鉛直方向には固く建物の重量はしっかり支え、水平方向には柔らかく変形して地震の揺れを免れる、という2つの役割をこなすことができます。

 

ところで、なぜ柔らかく支えると地震の揺れを免れることができるのでしょうか。ゆれが一往復するのに必要な時間を「周期」と呼びます。建物は個性としてそれぞれゆれやすい周期(固有周期)をもっていますが、固有周期は建物の重さと水平方向のかたさ(剛性)により決まります。建物が重いほど、柔らかいほど固有周期は長くなります。柔らかい積層ゴムのアイソレーターに支えられる免震構造の固有周期はとても長く、ふつうは超高層なみの4秒程度です。

 

一方地震の揺れにも個性があり、東日本大震災の揺れのように、周期が短く揺れ幅が小さい小刻みな揺れもあれば、兵庫県南部地震のように周期は長めで地面の揺れ幅が数十センチにもおよぶ衝撃的な揺れもあります。しかしながらどんな揺れでも、建物の固有周期が地震動の周期と合うと、共振が発生し建物の揺れは劇的に大きくなります。

 

免震構造は固有周期が4秒ほどありますので、通常の大地震に多い周期1秒以下の揺れでは共振しません。また何より、周期4秒というゆっくりした揺れは加速度が小さい、という利点があります。Newton力学の基本であるF=ma(外力は質量と加速度の積に等しい)から、加速度が小さいと建物に作用する地震力も小さいのでまず建物自体がこわれにくくなります。それだけでなく、建物内部の人、家具、設備などに作用する地震力も小さいので、家具の転倒なども発生しにくく、地震後も健全な状態が保持できることになります。

 

ただし、固有周期の長い建物は地震のときの揺れ幅が大きい、という性質があります。また地震後もいつまでも揺れ続けると困ります。そこでアイソレーターだけでなく、ダンパー(Damper:Dampは減衰させる、の意味)という装置も使います。ダンパーは揺れのエネルギーを吸収して熱に変換し、揺れを減衰させる装置で、油圧式のオイルダンパーや鋼の塑性変形によるエネルギー吸収を利用した鋼材ダンパーなどが開発されています。今回設置されたアイソレーターのいくつかには、周辺に4台U型の金具が取り付けられています。これは鋼材を加工した「U型ダンパー」です。

 

ところで、東日本大震災の際、関東地方では最初の激しい小刻みな揺れのあとに、周期の長い弱い揺れが数分間続くいわゆる「長周期地震動」に見舞われ、超高層である工学院大学新宿校舎も長い間揺れ続けました。固有周期の長い免震構造も同じように長周期地震動の影響を受けやすいと予想されます。しかしながらダンパーが揺れのエネルギーを吸収するので、超高層ほど大きく揺れることはないでしょう。

 

このように免震構造はアイソレーターとダンパーの働きで大変優れた耐震性を発揮します。八王子地区が大地震に見舞われても、総合教育棟は工学院大学だけでなく、近隣の防災拠点としてその機能を発揮することでしょう。もちろんその日が来ないに越したことはありませんが。

 

アイソレータ、ダンパー

 

積層ゴムアイソレーター

積層ゴムアイソレーター

積層ゴムアイソレーター+鋼材U形ダンパー

積層ゴムアイソレーター+鋼材U形ダンパー

Tags:アイソレーター, ダンパー, 免震構造
カテゴリー: この技術に注目!, 総合教育棟建設ブログ | コメントはまだありません »
ページの先頭へ

掲載日:2011/10/30

 建築学部建築学科教授(建築生産分野担当)の遠藤和義です。

 いよいよ現場では免震装置を設置する工事が始まりました。

 少々気が早いですが、来年春休みにインターンシップと技術センター見学会企画します。

 インターンシップは1、2年生を対象に4名程度で来年1月末に、希望者に面接をして決定します。

 技術センター見学会は2月初めに企画しようと考えています。場所はJR東海道線東戸塚駅が最寄り駅となります。1月に入ったら最大40名を全学科、全学年を対象に募集します。応募者多数の場合は抽選とします。

 これらの募集の詳細は、このブログ上で告知しますので、チェックして下さい。

現場では免震装置の設置が始まりました。

ページの先頭へ