2024年9月に開催された「蒲郡BENCH ART PROJECT学生チャレンジコンペ2024」(主催:蒲郡ベンチアートプロジェクト委員会および蒲郡市)にて最優秀作品賞を受賞した、工学研究科建築学専攻修士2年の川口弘誠さん(樫原研究室・樫原徹教授)と大谷和之さん(鈴木敏彦研究室・鈴木敏彦教授)の作品「たゆたう日陰」がこのたび完成し、2025年4月22日に蒲郡市竹島町の竹島園地で除幕式が行われました。多くの関係者が見守る中、作品がお披露目されました。
川口弘誠さん、大谷和之さんコメント
■コンセプト
本作品のコンセプトは「腰掛け」ではなく、地面に直接身をゆだねる新しいかたちの居場所を提案しています。支柱から張られた天幕は海風にたゆたいながら、やわらかな日陰をつくり、身体ごと布の下に入ることで、風景と一体となるような自然とのつながりを感じる体験が生まれます。
■設計・制作について(常設だからこその挑戦)
風で揺れる布を、仮設ではなく、公共空間に恒久設置するため、構造の強度、布の耐久性やメンテナンス性を総合的に検討しました。設計・施工にあたっては、何度も蒲郡に足を運び、市役所や関係者との打ち合わせ、現地見学を重ねました。布の選定には特に力を入れ、三河織物の技術を受け継ぐ地元の繊維メーカーを訪ね歩きました。最終的に2社のご協力を得て、それぞれ異なる特性を持つ布を製作していただきました。一つは、質感と美しさの両面で理想的な株式会社イチオリさんの布で、展示や撮影の際に使用しました。常設用には、蒲郡の繊維ロープ産業を支える株式会社麻生さんによる強度と耐候性を確保できるスポーツ用ネットの素材です。これらの布は、簡単に取り外しが可能で、イベントにあわせた付け替えや、耐久性を保つための定期的な交換も想定した設計です。また実施ならではの仕事として、看板デザインやピクトグラムも自分たちでデザインしました。
除幕式は、自然と笑顔がこぼれる和やかな雰囲気の中で行われ、二人の作品は今後、蒲郡市に常設されることが決定しました。この除幕式の様子は、複数メディアでも取り上げられました。
この作品は、地域の皆様とともに布をリメイクしながら、“育ち続ける作品”としてこの場所と関わり続けていく予定です。今後、ワークショップやイベントの開催も検討されています。
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看板デザインやピクトグラムもデザインした
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美しい質感の株式会社イチオリの布
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施工中のようす