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尾沼猛儀教授(応用物理学科)と京都大学が共同研究し、波長200nm以下の深紫外線が発光可能な新しい半導体材料を開発

2020/03/26

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尾沼猛儀 先進工学部 応用物理学科教授、藤田静雄 京都大学教授、金子健太郎 同講師らの研究グループは、水銀 (Hg) や希ガス (アルゴン、クリプトン、キセノンなど) の放電を用いることなく、200 nm (ナノメートル) 以下の短い波長を含む深紫外線を発光可能な半導体材料の開発に成功しました。

波長207~222 nmの紫外線は、人の組織を損傷することなしに空中浮遊のウィルスを殺菌することができるという報告が2018年になされました[1]。また、波長200 nm以下の紫外線は、効果的にオゾンを形成して殺菌や物質の表面改質に寄与するほか、光化学やリソグラフィなど産業応用がなされています。しかし、このような紫外線を得るには、Hgや希ガスの放電を利用したランプやレーザが用いられてきました。これを半導体からの発光を利用して得る目的で、窒化物半導体を用いる研究が進んでいますが、通常環境下で210 nm以下の波長を得ることは物性的に不可能です。今回、本研究グループは、酸化マグネシウム亜鉛 (MgZnO) 半導体を用いて、この波長領域の紫外線を発生することに成功しました。

本研究成果は、Hgの撤廃、希ガスの利用削減、ガス放電と比較して小型化・低消費電力の光源の提供、という効果につながります。また、半導体を用いるため任意の波長での発光が可能となり、光化学への幅広い応用が期待されます。

本研究成果は、JSPS科研費17H01263の成果として得られたものです。

  • Mg/Zn組成が異なる各種MgZnO薄膜 (試料#1~3) の室温における電子線励起発光 (CL) スペクトル。組成により、波長207~222 nmおよび200 nm以下の発光が可能なことがわかります。この図では、試料#1で波長190 nmまでの紫外光が得られています。
参考文献
[1] D. Welch et al., Scientific Reports 8, 2752 (2018); DOI:10.1038/s41598-018-21058-w

詳しい研究内容について

波長200nm以下の深紫外線が発光可能な新しい半導体材料を開発 [386KB]

取材に関するお問い合わせ 学校法人 工学院大学 総合企画部広報課
担当:堀口・樋口・松本
E-mail: gakuen_koho[at]sc.kogakuin.ac.jp
TEL:03-3340-1498