• Home
  • 2025年度のお知らせ
  • 坂本哲夫教授(応用物理学科)による安全な廃炉作業を支援する分析技術が高評価獲得

坂本哲夫教授(応用物理学科)による安全な廃炉作業を支援する分析技術が高評価獲得

2025/07/23

  シェアするTwitterでシェアFacebookでシェアLINEでシェア

応用物理学科の坂本哲夫教授が代表を務めた研究事業「世界初の同位体分析装置による少量燃料デブリの性状把握分析手法の確立」が、日本原子力研究開発機構廃炉国際共同研究センター(JAEA CLADS)が主催する「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」(以下、英知事業)において実施され、事後評価においてS評価を獲得しました。

英知事業は、日本原子力研究開発機構廃炉国際共同研究センター(JAEA CLADS)が主催する研究プログラムです。平成27年度に、文部科学省が原子力の課題解決に関する基礎的・基盤的研究や産学連携による人材育成を目的に立ち上げた「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」を元としています。
坂本教授による研究は令和3年から令和5年の3年間に行われ、世界初となる同位体マイクロイメージングシステムを開発しました。その後、JAEA研究所内に同じシステムを設置し、福島第一原発建屋内の汚染粒子の同位体マイクロイメージングに世界で初めて成功しました。廃炉作業での実装を想定した研究に加えて、この領域を専門とする学生がJAEAに就職して建屋内・炉内物質の分析作業に参加するなど、技術の向上と人材育成に成果を出しました。その結果、最終評価において最高ランクのS評価を獲得しました。令和5年に終了した英知事業(課題解決型)は本件含め10件ありましたが、唯一のS評価です。

■坂本哲夫教授コメント
世界で誰も成し得ていない燃料デブリの性状解析に自身の成果が直接役立つことは科学者として大変貴重な経験で、社会的使命を日々感じていたことが成果を出せた要因と思います。また、名古屋大学、東京電力ホールディングス、JAEAといった各参画機関の技術の結晶とも言えます。令和6年3月には海外から20名を超える研究者が見学に訪れたことからもこの成果は世界的にも注目されていることが分かります。現在は実際の燃料デブリの分析にJAEAの研究所において本システムが活用されていて、安全な廃炉に役立つことを期待しています。(https://www.kogakuin.ac.jp/news/2024/041001.html)
国内では、原子力を専攻する学生は減少傾向と言われていますが、世界を見渡せば原子力発電に舵を切る国もあり、種々の理由により廃炉が必要な場合、本研究成果が貢献することが期待できます。難問が続くこの分野に、JAEAスタッフとして挑み続ける決心をした若手研究者の存在は心強く、エールを送り続けたいです。

英知事業・課題解決型廃炉研究プログラム 令和5年度終了課題 事後評価(原子力安全研究協会サイト)