応用物理学科の坂本哲夫 教授は、独立行政法人日本学術振興会が設定する産学協力委員会の新規委員会発起人代表として「先端計測分析技術の未来創成委員会」を提案し、採択されました。2025年6月27日に開かれた設立総会で委員長に選出され、活動を開始しました。今後5年間、産学合わせて研究者約90名を率います。
坂本教授は、高分解能質量顕微鏡の開発を専門としています。この顕微鏡はPM2.5個別粒子やがん治療のための細胞1個の詳細分析、福島第一原子力発電所の燃料デブリ組成を解明する技術、隕石や小惑星由来粒子の生成過程を探る分析技術として実績を残してきました。何れも、これまで分析することが難しかった微小な物質に対して独自の分析装置開発を行い、世界初の分析結果を得たことが大きな特徴です。こうした経歴を背景として、産業界と密に連携し、先端計測分析技術の未来を創成することをタスクとする委員会を設立することができました。
■坂本哲夫教授コメント
日本学術振興会の産学協力委員会は戦前から存在し、様々な科学技術の課題と将来を議論する産学連携の場です。学会とは異なり、承認された委員のみが参加するため、広く認識さされているとは限りませんが、分野をリードする研究者の間ではよく知られた存在です。私が率いる委員会はあらゆるものづくり産業の基盤となる分析技術の未来を創成する委員会であり、学術界や企業での研究開発の方向性、延いては日本の国際競争力を如何に高められるのかという重責を担っています。一人の研究者としてこのような委員会の委員長を務めることは自身の研究とはまた違った意味での新たなモチベーションを感じています。