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情報通信技術の進展は目覚ましく、「Alexa」や「OK Google」と話しかけ、「音楽をかけて」「電源をつけて」と言えば、音楽をかけ、家電を操作し、おすすめの商品やプレイリストを紹介してくれる時代になりました。こうしたことを可能にしているのが、人間の知的活動を人工的に再現するテクノロジー、AI(Artificial Intelligence=人工知能)です。もともとAIは、パズルを解いたり、明確なルールが存在する問題に答えるなど、論理的、画一的な情報処理を得意としてきました。近年では、感情を認識するAI開発も進んでおり、一部ではすでに実用化も始まっています。たとえば、現在注目されているAIの感情認識には、以下のようなものがあります。
単語や表現から気持ちを読み取る
「文章の感情認識AI」
声の抑揚や話し方で気持ちを読み取る
「音声の感情認識AI」
表情筋の動きを解析して気持ちを読み取る
「表情の感情認識AI」
脳波や脈拍などから感情を読み取る
「生体データの感情認識AI」
感情認識AIは、複雑な感情検知や分析の精度など、さらなる研究開発の余地を残しており、多分野と組み合わせることで大きな技術発展も期待できます。他にも、AIに限らず、膨大な情報が収集・分析されるビッグデータの時代は、顧客管理、販売・マーケティング、設備管理、設計、統計処理など、様々な組織や業務でデータの利活用が求められます。AI・データサイエンスに関する専門知識と技術を備えた人材のニーズは、これからの社会では、さらに高まることでしょう。
現在政府が主導するAI戦略では、人間を中心としたAI活用社会の未来像や、AIの研究開発の議論に加えて、高等教育でのAI・データサイエンス教育推進が目標とされています。
工学院大学は、工科系大学として、各分野で専門的なデータサイエンス教育・研究活動を行ってきました。体系化された本教育プログラムは、文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」(リテラシーレベル・応用基礎レベル)に認定されています。本プログラムを通じて、データを読み解く能力、適切なデータ収集・抽出・分析能力、AI技術を活用した課題解決能力を備えた、モノづくり人材を育成します。
各自の習熟度に応じて、リテラシーレベルと応用基礎レベル、ともに並行して学習に取り組むことができます。プログラミングを得意とするなど、習熟度の高い学生も自分のペースで学修できます。
本プログラムを通じて学生は、大きく変化する社会で求められる工学者の役割・責任を自覚し、数理・データサイエンス・AIの幅広い領域をふまえデータを適切に読み解き、活用する方法を身につけることができます。
全学部、条件を満たす合計3科目を修得すること
※2020年度以降の入学生の場合
数理・データサイエンス・AIが私たちの日常生活と深く結びつき、未来を担う技術者に必須となっていることや、関連する情報セキュリティの扱い方を学習します。
数理・データサイエンス・AIと社会との関係を専門分野と絡めて学習します。
● 自然科学の歩き方
● 数値計算法及び演習
● 数値計算法
● 統計学
● 統計学Ⅰ
● システム工学A
● 電気電子工学序論
● 都市計画
● 測量実習
● 情報学基礎論I
データ活用の手法と社会的な汎用性とを学習します。
● 情報処理演習
● 建築情報処理基礎
● 情報学基礎論II
本プログラムの専門分野教育を通じて、学生は、目的に応じて適切なデータ収集・抽出・分析を行う能力や、AI技術を活用して課題解決につなげる能力を身につけることができます。
各学部、条件を満たす指定科目を修得すること
● 線形代数1 または 線形代数及び演習Ⅰ
● 微分 または 微分及び演習
● 積分 または 積分及び演習
● 情報処理入門
● 情報処理演習
● 自然科学の歩き方
● 計算化学
● 線形代数A または 線形代数及び演習Ⅰ
● 微分積分A または 微分積分及び演習Ⅰ
● 統計学
● 情報処理入門
● 情報処理演習
● ロボットの知能
● AIとデータサイエンス
● 建築デジタル概論・演習
● 基礎数学
● 微分積分Ⅰ
● 線形代数学Ⅰ
● 建築統計学
● 構造力学Ⅰ
● 建築情報処理Ⅱ
● 構造基礎実験
● 環境基礎実験
● 材料実験
● 測量実習
情報学の数理・AI・データサイエンスとして必要なデータ処理に関する数学的な知識に加え、データ分析そのものの設計の他、データ分析を実行するためのデータ観察加工、分析、可視化といった一連のステップに関する知識と実践を習得する。
● 確率・統計Ⅰ
● 線形代数学1 または 線形代数学及び演習Ⅰ
● 微分 または 微分及び演習
● 積分 または 積分及び演習
● データ構造とアルゴリズム及び演習
● 情報学基礎論I
● 情報処理入門
情報学のAIの応用、活用に必要な知識と、実践を通してそのプロセスを習得する
● 機械学習
● 人工知能
研究の場で実際に活用される数理・データサイエンス・AIの具体例や、研究と社会とのつながりをご紹介します。
宇宙は強い放射線が降り注ぎ、極端な温度差がある過酷な環境です。その中で運用される人工衛星などに用いる、軽くて強い構造体を実現する研究を行っています。現在、ターゲットのひとつとしているのがカーボンナノチューブ(CNT)を使った複合材料です。材料の特性向上には、CNTと樹脂がいかにうまく一体化するかがカギになります。研究では、計算機の中に結晶構造のモデルをつくり、互いの距離や構造を変えながら、「第一原理計算」という量子力学の手法に基づいて、結合によるエネルギー変化を解析します。しかし、研究はどれだけの力をかけたら壊れるか、性能を調べることだけが目的ではありません。界面がどれぐらいのエネルギーで化学結合しているから強いのか、原子スケールに起因を求め、理論的背景を明確にし、特性向上の指針を示すことを目指しています。
本研究室では、シミュレーションで、新しい材料の設計を行っています。計算化学の手法に機械学習を取り入れて、材料の分子や結晶の構造を仮想空間で構築します。機械学習を導入することで、複雑な3次元構造の物質も容易にシミュレーションできるようになり、設計した材料の物性も推定が可能になります。現在、取り組んでいるテーマのひとつが、大気中の二酸化炭素を分離回収する膜の構造設計です。実験データから構造と性能の回帰式を構築しており、機械学習でより性能の高い二酸化炭素分離性能を備えた構造を模索しています。
機械学習とシミュレーションを材料開発に用いれば、従来よりも開発速度を短縮することが可能です。今後の研究現場では、こうした化学知識と機械学習やシミュレーションのスキルを兼ね備えた人材が求められていくと考えています。
大学で学ぶ中で計算化学という分野に出会い、機械学習やシミュレーションによる材料開発に興味が湧きました。この研究室に入ることを決めてから、独自でプログラミングの勉強も開始。現在は、二酸化炭素を分離するために最適な膜構造を機械学習で割り出し、ガス分離性の高い高分子膜の逆設計を行っています。この手法は、時間やコストをかけずに分子構造をつくれるところが魅力です。また、オンラインで学会発表にも参加し、同じテーマの研究者の方々とも意見交換ができたのはとてもいい経験になりました。
自動運転システムや移動ロボットなど、センサで得た情報で自律走行する知能移動体が研究テーマです。例えば自動車事故は、車線変更が原因のケースが頻発しています。そこで、事故を予測し回避する自動運転支援システムの開発に取り組んでいます。周囲の車の動きをエネルギー場に換算し、その変化を連続的に監視。膨大なデータから機械学習したAlが、車線変更して割り込んでくる車を予測し回避する仕組みです。現在は、自動車メーカーとの共同研究によるデータ収集を終え、データ学習から構築したシステムをレベル3 (※1)の自動運転車に実装して試験を行う段階です。また後続車との車間距離を測り、回避時の減速による2次的な事故を防ぐ研究も行っており、レベル4(※2)自動運転の実現を目指しています。
※1. 2 自動運転化レベル:レベル3=条件付き運転自動化、レベル4=高度運転自動化
他にも、災害時に原発などでの放射能漏れの事故を想定し、放射線源の位置探索を行うロポットの開発も行っています。ロポットには、周囲の障害物を検知するセンサと放射線を検知するセンサが搭戟されており、効率的に障害物を回避しながら短時問で放射線源の位置を探索します。いずれも社会貢献につながる研究として取り組んでいます。
「流体力学」をテーマに、次世代航空機や革新的ドローンなどの開発につながる研究を行っています。主に研究ではCFDと呼ばれる流体シミュレーションを使用。翼やローターブレードで生じる気流をシミュレーションし、より高性能な翼やローターを開発しています。例えば、物流現場で使う輸送ドローンの実用化を目指し、人口密集地での使用を想定した静粛性の高いローターブレードの開発などに取り組んでいます。
現在、力を入れているプロジェクトのひとつが、JAXAが開発している火星探査に使用する「火星ヘリコプター」のローターブレード研究です。火星には、縦孔や地下空洞が存在することがわかっています。その内部探査を目的としたマルチコプターは、地球の大気の1/100という、流体力による揚力を得にくい環境下で飛行しなければなりません。そこで火星でも飛べる効率の高いローターブレード開発が求められています。研究においては、社会的背景や工学的背景を理解したうえで取り組むことを重視しています。
物と物が短時間でぶつかる“衝撃”は、野球やゴルフ、テニスなど多くのスポーツで発生しています。この衝撃に注目し、高速度ビデオカメラによる観察や、コンピュータシミュレーションで、材料力学の観点からボールやバット、ラケットなどスポーツ用具の衝突中の挙動を調べています。最近注目しているのは卓球のラケット。表面に貼ったラバーによって、球へのスピンのかかり方が変わるため、ラバーの粒の直径・高さ・密集度といった構造の違いによるスピンへの影響を解析しています。本研究室に所属する学生はスポーツ経験者が多いため、プレーヤー経験で得た先入観は捨てて、工学的に分析するように指導しています。プレーヤーにとって感覚は重要ですが、研究では客観的にデータと向き合うことが不可欠です。
幼い頃からスポーツが好きで、高校時代サッカー部のマネージャーを経験してから、サポートの面白さを知りました。将来もスポーツのサポートに関わり続けたいと考えて研究室を探し、工学院大学に進学しました。工学部では低学年のうちから実験や実習の授業があり、データの測定や客観的な読み解き方が身につきました。現在は3年生で研究室の研究内容に関する理解を深めてており、4年生で研究室に配属された後は、脚に負担が少なく怪我をしにくいサッカーのスパイクの研究をしたいです。
一つの建物の部品数は住宅で1万~ 1万5千点、高層ビルになると100万点を超えることも珍しくありません。従来、これらを管理するには何千、何万枚もの設計図と表と文書が必要でした。ところが、コンピュータ上に建物の3次元モデルを構築するBIM(Building Information Modeling)を使えば、形状情報と性能情報を一つのデータにまとめることができます。扉のサイズ、形状、材質、色、塗料の種類など、ありとあらゆる情報が可視化でき、さらに数値を入力するだけで図面を書き直すことなく、形状の作成・変更も可能です。部材の数や価格情報も管理できることから、工程表やコスト計算にも応用できます。
建築業界においてもDXは不可欠です。BIMは建物の企画、設計、施工、維持管理までが一貫して行え、DXを進めるのに有効なツールです。研究室ではこのBIMを使った新しい仕組み、建物のライフサイクル全般でのICT技術の活用を研究しています。研究テーマは、BIMを使うこと以外に制限はなく、足場のような仮設材の自動設計や被災地の応急病院の建設など、建物を作ることから、建物を維持管理すること、さらには建物解体時の安全性の確保まで、各自が自由に設定しています。建設業の生産効率を高めるDX化を推進するため、研究を通してデジタルの可能性を広げるとともに、デジタルな思考を学んでほしいと考えています。
コストや納期の観点から選択されることが多い建築資材ですが、地球温暖化が大きな課題となっている現代において、環境への配慮という視点も必要だと考え、CO2排出量を削減する材料選択とその効果を調べる研究を行っています。例えばI型鋼材一つをとってみても、機能や性能は同じでも製造過程によってCO2排出量が違います。そこで、BIMで建物モデルを作成し、別のツールと連携させることで材料選択を比較。コストとCO2 排出量にどのような差があるかを明らかにしようと考えています。建設業界にはまだ環境に配慮した材料選択を行う指標が無いため、本研究が少しでもCO2を低減する動きにつながればと思います。
この研究室では、インタラクティブという単語を、「人から情報、情報から人の双方向」という意味でとらえています。例えば、人がコンピュータに「こういう情報が欲しい」と伝えると、検索エンジンが情報を選んで表示します。反対に物販サイトでは、コンピュータは人に対して「この商品はどうですか?」と提案してきます。このように人と情報が双方向で適切に組み合って、欲しいものを手に入れたり、「知らない」と推測できる情報を提案することを目指すのが、研究室のテーマです。
例えば、ユーザーにお勧めの本を提示するという試みがあります。異なる分野で、ユーザーが興味のある本を2冊入力すると、コンピュータは画面を本棚に見立てて両端に2冊の本を置き、その2冊の繋がりを推測します。そして2冊の本の間に、分野の関係性がグラデーションのようにつながる5冊の本を選び出し、推薦する、という仕組みです。本のレビューサイトをデータベースとして、回帰分析という技術で機械学習を行い導き出しています。この他にも、料理のレシピアレンジやファッションコーディネートなど、学生が興味を持った事象を研究テーマにしています。
情報学では、データサイエンスやAIなどの知識はもちろんのこと、人間が何を求めているのかなど、コンピュータとは関係なく見える知識も、実は重要になってきます。専門分野にとらわれず、幅広く知識を求めて吸収していくことで、広く深く活躍できるようになると考えています。
高校時代、暗号の研究の話を聞き、数学や情報学に興味を持ちました。また、大学ではデータベースを扱うスキルを身につけたいと考え、インタラクティブメディア研究室に入りました。私は車が好きでよくドライブに行きます。ドライブはどこに行くにも観光がつきものです。好みの観光スポットを推薦してくれるシステムがあれば便利だなと考えて、自分の研究テーマにしました。研究タイトルは、「旅行プランにおける体験の供起関係に基づく相性の良いスポットペアの抽出」です。旅行に行く複数人の趣向を入力することで、それぞれの体験の相性の良さを加味した観光スポットを提示してくれるという仕組みです。
本研究室で研究対象としているのは基礎的、基盤的なソフトウェアです。具体的には、スマートフォンに使われているAndroidや、サーバに使われているLinuxといったOSの改善をします。そして、通信速度がより速く消費電力が少ないスマートフォンの開発や、ネットワークのデータ転送速度の向上を行います。
学生の皆さんには、普段使っているスマートフォンを自分の手で良くしていくことで、技術革新に「使う側」でなく「作る側」として関わる楽しみを感じてほしいです。サーバの分野では、新たなプロジェクトも進行しています。ビッグデータのなかには、ゲノムデータのように、他人に見せたくないものも存在します。現在は、データを暗号化したまま解析する手法も開発され、クラウド会社のサーバでビッグデータを暗号化したまま解析できるようになりました。しかし、この暗号を使うとデータ量が大幅に増えてしまいます。そこで本研究室では、サーバのデータ処理速度の向上を進めています。ソフトウェアの研究にはアプリを開発するようなものもありますが、スマートフォンもPCもOSが制御しています。OSを進化させることで開ける世界はとても広く、本研究の面白さだといえます。
スマホを持って歩く人の動きには、それぞれクセがあります。そこで、スマホの加速度センサを使って歩行時の使用者の動きを機械に学習させ、誰が端末を持っているのかを判別する研究に取り組んでいます。使用者が判別できれば、あわせてスマホの設定を変えたり、所有者以外が操作できないように設定したり、端末から盗難情報を発信することもできます。研究によって、現在、スマホの横揺れから9割弱の確率で10人から1人を判別できるようになりました。試行錯誤の繰り返しで大変でしたが、自分が新しいことを実現できる研究は楽しいです。
日常生活の中で、人はいろいろな動作を行っています。スポーツもその一つですが、実はトップアスリートでさえ、自分がどのように動いているかを意外と把握できていません。実際、元プロ野球選手の投球フォームを測ると、指の使い方が本人の説明とまったく違うこともあります。スポーツ選手に限らず、ほとんどの人は、主観と客観にはズレが生じるものなのです。他にも医療の分野では、心臓のエコー検査は正しい位置にプローブを当て、適切に動かさないと必要な情報が得られません。そこで、どこを見て、どのような動きをするのが最も適切かが分かれば、検査時間を短縮化し、患者さんの負担を減らすことができます。
本研究室では、人の自然な動作を妨げず、負担のかからないセンシング(測定)とフィードバックの方法を解明することをテーマとしています。動きが速くなればなるほど測定は難しくなります。どのような道具を使ってどう設定すれば正しく測れるのかを解明することで、多様な動きを測れるようになります。また、結果からわかったことを上達・改善につなげられるよう、わかりやすくフィードバックすることも大切です。まずは VRやAR、高速度カメラなど、今使える道具と実験設定から事実を見つけ出し、最終的には実用化につなげ、社会に役立てたいと思っています。
自動車に乗る人の視線を計測し、その人が何に興味を持っているかを推測する研究に取り組んでいます。実験では、被験者にゴーグル型のヘッドマウントディスプレイを装着してもらい、走行する車の助手席で360度撮影カメラを使用し、視線を計測します。自動車のように主体が高速で移動する場合は、同じところを見ていても視界がどんどん変わっていくので、データをどう解釈するかが最初の課題です。視線の分析により道路広告の効果的な手法が判明するかも知れません。未知な部分が多い研究だからこそ、様々なところに影響を与える可能性を秘めています。
本研究室では、人体を計測し、健康な生活に役立てるインターフェイスやアプリの開発を行う研究に取り組んでいます。そのひとつがモーションキャプチャです。3Dカメラで歩く様子を撮影し、PC上でデジタル化して、様々な角度から動作を分析します。
よく高齢者は立ち上がったり座ったりするときに転びます。つまずいたり、転んだりする動作を3Dカメラによるモーションキャプチャで解析することで、筋力の衰えを推定でき、リハビリに役立てることが出来ます。可視化によって本人も客観的に状況を理解できます。他にも、歩き方は姿勢の改善だけでなく、「気分が落ち込んでいる」などの感情を予測することもできます。これにより、うつ傾向の早期発見にも応用可能です。
生体情報は他にも脳波、眼電位などがあります。例えばキーボード上で光る文字を目で追ったときの脳波を測ると、見間違いの程度(正しい文字とのズレ)がわかり、認知症の進行度を予測できます。また、言葉を発することができない人や体を動かせない人の脳波を計測することで、文字を綴る装置を開発することも可能です。このように生体情報を健康の維持・増進に活用するには、第一に、手軽に利用できる必要があります。そこで、生体情報のデータ処理に加え、スマホなどで計測・分析できるアプリの開発につなげる研究も行っています。
私はスポーツが好きで、モーションキャプチャによって動きを可視化できることに興味を持ち、本研究室に入りました。現在の研究では、まず走る姿をVRスタジオに設置されたカメラで撮影し、そのデータを使って棒状の人型や肉付けされた多面体など、3種類のモデルを作成します。そして、モデルごとに気づきやすい点や、分かりやすい点を比較分析していきます。最終的には、指導者がいなくてもランニングフォームの改善点がわかり、競技力向上に役立つアプリに展開したいを考えています。自分の知りたいことに取り組める研究は楽しく、充実しています。また、実験の協力者に説明をすることで、人に伝える力も身につきます。未知な部分が多い研究だからこそ、様々なところに影響を与える可能性を秘めています。
数理・データサイエンス・AI教育推進室において、全学的な教育方針を踏まえた本プログラムの改善検討、成果検証を行います。
学生の声
CNTの複合材料をモデルにより計算し、強固な結合状態を模索
研究のテーマはカーボンナノチューブ(CNT)とエポキシ樹脂の複合材料。結晶モデルをつくり、CNTに樹脂を近づけたときにエネルギーがどう変化するかを計算し、結合の状態を調べます。計算機の使い方を学ぶところから始め、本格的にシミュレーションしてみると完璧な状態のCNTではまったく樹脂が結合せず、CNTの炭素原子を一つ抜いてわざと欠陥をつくることで電子の軌道の共有が見られるようになりました。原子レベルからの理解は、どのような材料を扱う上でも役立つと思います。