鈴木敏彦教授(建築デザイン学科)が執筆した『黒川紀章のカプセル建築』が4月5日に刊行されました。カプセル建築プロジェクト(https://www.capsule-architecture.com/)の研究成果をまとめた内容です。表紙は丸窓のある同氏のカプセル建築をイメージした装丁で、254ページに渡ってカプセル建築の魅力が詰まっています。
■鈴木敏彦教授のコメント
黒川紀章の薫陶を受けた者として、カプセル建築についていつかまとめたいと思っていましたが、ようやく1冊の本として結実しました。本も建築だ、という思いでこの本を造り、丸窓のある本が出来上がりました。丸窓からのぞくインテリアは1969年のカプセル宣言。写真は山田新治郎さんにお願いした本の竣工写真です。
本格的にカプセル建築の研究をはじめたのは、中銀カプセルタワービルの解体が現実味を帯び始めた頃でした。しばらくして、コロナ禍により、暮らし方、働き方に劇的な変化が訪れました。そこにオンラインで仕事をして、多拠点を行き来する人々が登場します。それはまさに黒川が50年前に予言したホモ・モーベンス(動民)そのものです。黒川は、カプセルはホモ・モーベンスのための住まいであると宣言し、中銀カプセルタワービルを設計しました。そして2022年4月、この建築は解体されます。多くの名建築が惜しまれながらも解体されるのが常ですが、この建築は消滅しません。カプセルは取り外され、世界中の美術館に寄贈され、国内では宿泊体験を提供する場として再利用され、生き続けるのです。かつてこのような展開が建築物にありえたでしょうか。建築の持続可能性を問う新しいメタボリズムのはじまり。ホモ・モーベンスの時代が訪れた今、黒川紀章のカプセル建築のその後から目が離せません。
『黒川紀章のカプセル建築』
出版社 | OPA PRESS |
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発売日 | 2022年4月5日 |
価格 | 8,800円(税込) |
文・アートディレクション | 鈴木敏彦 |
デザイン | 舟山貴士 |
写真 | 山田新治郎 |
編集・英訳 | 杉原有紀(株式会社ATELIER OPA) |