2022年6月25日(土),26日(日)に椙山女学園大学 星が丘キャンパス(愛知県名古屋市)で開催された一般社団法人日本色彩学会第53回全国大会2022において,化学応用学専攻修士2年の國毋優香さん(無機表面化学研究室・阿相英孝教授)が発表奨励賞を受賞しました。
本賞は,一般社団法人日本色彩学会全国大会において,将来性を有す優秀な口頭発表またはポスター発表を奨励するための賞であり,本大会では口頭発表を行った本学会の正会員または学生会員の中から,審査および選定を通じて受賞者が決定されました。
今回の大会で國毋さんは、金属の新たな表面処理方法として期待される間接陽極酸化を金属ニオブに適用し、マスクレスでの位置選択性と、幅広いデザイン性を兼ね備えたカラーリング技術について発表を行いました。ニオブ上に生成した酸化ニオブ(酸化皮膜)は、皮膜の厚さに応じた鮮やかな干渉色を呈することが知られています。
従来法では、ニオブに対して陽極酸化(直接通電)を施し、試料全面に同一色のカラーリングを行いますが、今回提案した手法では、試料に対して直接通電することなく、ニオブ上における特異的な酸化還元反応(バイポーラ現象)を活用し、カラーリングを行いました。
駆動電極と試料の配置の組み合わせや印加電圧,電解時間を調整することで、単色だけでなく、対称性のあるグラデーションやオイルスリック模様のカラーリングにも成功しています。
本アプローチは、ニオブ以外の金属材料にも適用可能であり、金属チタンを対象とした研究成果に関しては、本年5月に開催された一般社団法人軽金属学会第142回春期大会において國毋さんが発表を行い、優秀ポスター発表賞を受賞しています。
受賞コメント
この度は日本色彩学会全国大会発表奨励賞を受賞することができ、大変光栄に思います。日本色彩学会への参加は今回が初めてでした。今までは、金属や表面処理を研究対象とした学会で発表を行ってきましたが、研究内容の面白さ、ユニークさをより広い分野で伝えたいという思いがあったこと、またコロナ禍での研究活動において、対面形式の学会発表を行う機会がなかったことから、本大会への対面での参加を決意しました。初参加ということもあり、発表前は本大会の趣旨に沿う発表内容であるか、不安に思っていましたが、発表後には多くの方が本研究に興味を示してくださり、嬉しく思うと同時に、達成感を感じることができました。日頃よりご指導いただいている阿相英孝先生、また本大会を運営していただいた皆様に、心から感謝申し上げます。今後もより一層精進して、研究に取り組んでいきたいと思います。