化学応用学専攻生が電気化学秋季大会で優秀学生講演賞を受賞

2022/10/17

  シェアするTwitterでシェアFacebookでシェアLINEでシェア

2022年9月8日(木)、9日(金)に神奈川大学みなとみらいキャンパスで開催された公益社団法人電気化学会 2022年電気化学秋季大会「材料電気化学が拓く金属・半導体の技術革新」シンポジウムにおいて、化学応用学専攻修士2年の國毋優香さん(無機表面化学研究室・阿相英孝教授)が優秀学生講演賞を受賞しました。

本賞は,「材料電気化学が拓く金属・半導体の技術革新」シンポジウムにおいて、学生の研究発表を奨励する活動の一環として設けられたもので、口頭発表申込み時にエントリーした学生の中から、選考委員会による審査、審議を経て受賞者が決定されました。

今回の大会で國毋さんは、金属の新たな表面処理方法として期待される間接陽極酸化を、金属チタンに適用し、マスクレスでの位置選択性と、二段階電解を適用したヤヌス型チタン基複合材料の創製技術について発表を行いました。
チタン上に生成した酸化チタン(チタニア皮膜)は、皮膜厚さに応じた鮮やかな干渉色を呈することが知られています。従来法では、チタンに対して陽極酸化(直接通電)を施し、板状試料の両面に同一色のカラーリングを行いますが、今回提案した手法では、試料に対して直接通電することなく、チタン上における特異的な酸化還元反応(バイポーラ現象)を利用し、板状試料の表と裏で異なる干渉色を呈する電極材料を作製しました。
駆動電極と試料の配置の組み合わせや印加電圧、印可順序を調整することで、バリエーションに富むカラーリングにも成功しています。

本アプローチは、様々な金属材料に適用可能であり、金属チタンを対象とした基礎的な研究成果に関しては、本年5月に開催された一般社団法人軽金属学会第142回春期大会において國毋さんが発表を行い、優秀ポスター発表賞を受賞しています。また、金属ニオブを対象とした同様の検討では、本年6月に開催された日本色彩学会第53回全国大会において、発表奨励賞を受賞しています。

なお、今回のヤヌス型チタンに関する研究成果は、國毋さんが筆頭著者として英論文を執筆し、電気化学に関する国際学術雑誌Electrochemistry Communicationsに公開されました。
受賞コメント
この度の受賞,大変光栄に思います。 参加したシンポジウムのテーマでもある「電気化学」と「材料化学」を 意識したプレゼンになるよう,スライド構成ならびにスライドの中身を工夫しました。 日頃よりご指導いただいている阿相英孝先生,また本大会を運営していただいた皆様に感謝申し上げます。
公益社団法人 電気化学会
電気化学会は、電気化学の基礎と応用に関する研究の推進と、それを基礎とする産業技術の進歩を図り、それを通じて学術文化の進展と社会の発展に寄与することを目的として、1933年に設立されました。設立以後、電気化学および工業物理化学一般でも、学問・技術の両面で飛躍的な進歩を遂げると同時に、わが国の産業を取りまく諸条件も多様に変化し、電気化学会のカバーする領域が飛躍的に増加しました。電気化学会は、この急速な進歩に対応し、この分野の発展に大きく貢献し続けています。
電気化学会 材料電気化学ホームページ
先進工学部応用化学科無機表面化学研究室