伊藤慎一郎学長(機械工学科教授)が、日本機械学会流体工学部門賞を受賞

2022/11/18

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伊藤慎一郎学長(機械工学科教授)が、11月13日、日本機械学会の第100期(2022年度)流体工学部門賞を受賞しました。

同学会において最大の部門である流体工学部門での最高賞で、大変名誉ある賞です。長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し、その発展に顕著な功績を収めたことが受賞の理由です。特に生物流体/スポーツ流体に関する業績が顕著で、流体工学部門の活動に積極的に参画し、その活性化に多大なる貢献をしたことが評価されました。

受賞コメント

今回頂いた流体工学部門・部門賞は日本機械学会最大の部門である流体工学部門で最高の賞であり、The Best Scholar Awardと言っても良いものです。今までの私の研究業績を評価していただいた皆様には感謝しておりますし、受賞はとても光栄に存じます。

私の人生は紆余曲折で、まさに論語の通りの人生を送っています。進学校の中学時代は、本当のどん底まで落ちました。中高一貫で高校にはなんとか進学できましたが、小学校時代の夢「科学者になる」は一体何だったのか?何のためにこの進学校に入学したのかを自問自答し、(子曰わく、吾十有五にして学に志し、)短期間で総復習し、追いつき、追い越し、本来の進学校入学の目的を果たすことができました。そのどん底時代の中学の頃の心の支えは生き物でした。猿・ゴリラの研究にあこがれ、コンラートローレンツの動物行動学に夢中になった時期がありました。

数学と物理にひかれて機械工学科に進学して流体力学の世界を知りました。大学院時代に東大航空学科の東昭先生の生き物の流体力学の授業を聞き、興味は持ちましたが、自分からその世界に飛び込むことはありませんでした。修士卒業後、一度は企業に就職しましたが、大学に出戻り、防衛大で教職を得ました(三十にして立ち)。40歳の手前で研究内容に行き詰まり、自分の好きなもの、生き物と流体力学を一緒にやろう決意しました(四十にして惑わず)。

全てを捨てて生物流体を始めました。ちょうどその頃、同好の志が集まってアクア・バイオメカニズム研究会(現エアロ・アクアバイオメカニズム学会)を発足させ、お互いに切磋琢磨できました。教育面においては、自分自身の経験と大学時代に体験したファインマン物理の感動から、学生達に分かりやすく興味のある流体力学の新たな授業展開を模索し始めたのは50歳(五十にして天命を知り)の頃でした。今も続いておりますが、機械学会流体工学基礎講座の講師の声がかかったのもこの頃です。スッポンと亀の泳ぎ方を人間に当てはめてスポーツ流体工学(水泳理論)を始めたのは46歳のことです。スイマーの泳ぎを流体力学的に見ると、水泳コーチがびっくりするほどの鋭い指摘ができて自信になりました。

さらにボール等のスポーツ用具、運動解析も発展させて、スポーツ流体という分野を構築、機械学会の新分野スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門を関係者の皆様と一緒に創りました(59歳)。人の忠告を素直に受ける「六十にして耳順い、」の域にはまだまだ達していませんが、そうでありたいと思います。今は66歳、もうすぐ「七十にして心の欲する所に従へども矩を踰えず」の年を迎えようとしています。

総じて今までの生き方は、創立者渡辺洪基先生の「夢」と同じですが、夢を決してあきらめないことであり、直感を重視して、考えは直ぐに実行に移すことをモットーとしておりました。経験に裏打ちされた直感はとても大事だと思います。

今後は学長として、工学院大学の建学の理念の一つである「工の精神」を中心に優れた人間的にも優れた技術者を育てるべく大学を運営していきたいと思います。