建築学部卒業研究制作審査会は、設計テーマや建物の内容・場所・規模などをすべて自分で設定し、約1年の時間をかけて1つの作品にまとめあげる4年間の集大成にあたります。
2025年1月24日の審査会では、藤森 照信特任教授をはじめ、ゲスト審査員として建築家の成瀬 友梨様、慶應義塾大学環境情報学部教授の石川 初様をお迎えしました。
午前中には30名の学生によるポスターセッションが行われ、各学生が決められた時間内で自身の作品についての口頭発表を実施。熱意あふれるスピーチが繰り広げられた結果、投票によって最終審査会へ進む11名が選出されました。
午後の最終審査会では、選ばれた11名の学生が一人ずつプレゼンテーションを行いました。質疑応答では、各建築分野の専門家である審査員の先生方から、多角的かつ鋭い質問が寄せられました。そして、白熱した議論の末、15名の受賞が決まりました。
表彰式では、ゲスト審査員のお二人から全体講評があり、「工学院大学の建築学部では、先生同士や学生同士のつながりの強さが感じられた。ポジティブな雰囲気の中で審査が進み、一つひとつの作品に対して、作成者の意図を超えた良い点が引き出される、とても素晴らしい会であった」とのコメントをいただきました。また、惜しくも最終審査には選ばれなかったものの、高く評価された作品についても言及があり、参加者の努力や成果に対する温かい評価とともに、学部全体への激励の言葉が贈られました。
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ゲスト審査員 成瀬 友梨様
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ゲスト審査員 石川 初様
卒業制作では、計画道路用地をテーマに取り組みましたが、大学院進学後は、計画を実行フェーズに移行させるなど、「できることから始める」姿勢を大切にしながら、より実践的な挑戦を続けていきたいと考えています。
また、工学院大学には1・2年次に学科を超えた幅広い建築分野の知識を学ぶ機会があり、卒業制作においてその経験が大いに活かされたと実感しています。今後はデザインを中心とした研究に進む予定ですが、建築単体にとどまらず、さまざまな分野を横断的に学び、さらに視野を広げながら研究を深めていきたいと考えています。
■入賞者・入賞作品
最優秀賞・卒業制作賞
作品名:「空地から種地へ -池袋本町都市計画道路における未来の交配実験-」
受賞者:渡辺 椎菜
優秀賞
作品名:「資源連動建築論 ~ガソリンスタンド跡地を活用した木材の流通拠点の設置と木材活用の波及~」
受賞者:三上 翔三
受賞 | 氏名 | タイトル |
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最優秀賞・ 卒業制作賞 | 渡辺 椎菜 | 空地から種地へ -池袋本町都市計画道路における未来の交配実験- |
優秀賞 | 三上 翔三 | 資源連動建築論 ~ガソリンスタンド跡地を活用した木材の流通拠点の設置と木材活用の波及~ |
佳作・ 審査員特別賞(成瀬友梨賞) | 長谷川 諒 | 雨のよりみち ー西新宿高架歩道計画ー |
審査員特別賞(石川初賞) 保存・再生デザイン賞 |
齋藤 灯里 | 御食国 ~たまねぎ小屋継承による淡路島の未来~ |
佳作・ 藤森照信賞 | 小川 真里 | 緑をめぐる ・畑で魅せるよこすか自然体験・ |
都市まちづくり賞 | 山本 百花 | YOLO ~スキマをスキにする15の本屋さん~ |
佳作・ ランドスケープデザイン賞 | 小泉 葵生 | 雨が降るらしい ー水脈が導く文化の再生ー |
インテリアデザイン賞・ DFMA賞 | 荒井 大輝 | 交差するランウェイ ー5つの美学×かまくらの情景ー |
プロダクトデザイン賞 | 佐野 広空 | Pagurus Jacket |
佳作・ 構造デザイン賞 | 滝澤 耀一 | 農・動・体 ー神宮外苑に息づく地下球場と農地の再構ー |
佳作・ 建築デザイン賞 | 武井 央太 | 現代の寺子屋 -地方におけるフリースクールの在り方- |
佳作 | 鍛冶 奈津子 | 浅草遊園ビル -斜めの昇降による都市のパノラマ体験- |
佳作 | 許 裕伊 | 宿す個性 —ポストモダンの自由な造形から学ぶ「元気な建築」のつくりかた— |
佳作 | 依本 晃希 | NEO代謝建築論 多摩ニュータウン永山団地4丁目エリアの経年変化を通じて |
佳作 | 松井 美里 | まちのたまりば学舎~つながりと挑戦、地域と共生する学び舎~ |