9月8日(日)山形県新庄市の登録有形文化財「旧蚕糸試験場新庄支場」にて、まちづくりシンポジウムが開催され、本学の後藤治理事長と建築デザイン学科冨永祥子教授が登壇しました。
蚕糸試験場とは、明治以降日本の重要な輸出産業であった蚕糸業の品質・価格の安定を目指し、旧農林省が全国に設置した研究施設です。
現在ほぼフルセットで現存するのは山形県新庄市のみで、昭和9年から12年にかけて一連の木造建物群が建設されました。
2014年、この施設の現状調査と保存活用計画の提案を新庄市から依頼され、建築学部の後藤研・冨永研・篠沢研、千葉工大の多田研が共同調査を行い、2015年度に保存・耐震補強・利活用提案をまとめました。
2017年度以降は、冨永研究室が実際の改修設計を担当し、この利活用提案をもとに改修工事を進めています。
今回のイベントは、昨年末に1棟目(第五蚕室)が竣工したこのタイミングで、「街の宝(建築や町並み)を生かして街を盛り上げるために、私たちに何ができるか?」を皆で考える場として、新庄市・山形県建築士会まちづくり委員会・冨永研究室が企画実現したものです。
当日はまず保存活用の第一人者である後藤理事長と、新庄市に近い金山町で40年間まちづくりに携わられている建築家・片山和俊氏(東京藝術大学名誉教授)にレクチャーを頂き、進行役の冨永教授を交えてクロストークを行いました。
地元建築士の方々や住民の皆さんからも積極的な発言が出され、各自の思いや考えを共有できたことは大きな収穫でした。シンポジウムの後は、昨年末竣工した第五蚕室を見学し、敷地内の庭で懇親会を行い親睦を図りました。
また当日は冨永研究室の大学院1年生が、蚕糸試験場の特徴的な廊下空間を使ってインスタレーション作品を制作し、訪れた方々に建築の新しい魅力を体感してもらうことができました。
現在は2棟目(第四蚕室)の工事と並行して、3棟目(第一蚕室)の改修設計を進めているところです。 息の長いプロジェクトですが、引き続き建築を通してまちの活性化に貢献していきます。