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紀基樹客員研究員らの国際研究チームが、地上・宇宙の望遠鏡で一斉にブラックホールを観測

2021/04/15

  • M87の中心にある巨大ブラックホールのさまざまな波長の電磁波での観測画像。使用した望遠鏡により観測波長が異なり、また解像度も様々なため、見えているスケールも異なる(画像クレジットは図中に記載)。
工学院大学の紀基樹 客員研究員(教育推進機構)が参加するイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)プロジェクトは、2017年4月、地球上の各地、さらに宇宙にある多くの電波望遠鏡、可視光線・紫外線望遠鏡、X線望遠鏡、ガンマ線望遠鏡を使って、楕円銀河M87の中心にある巨大ブラックホールを一斉に観測しました。この成果が2021年4月14日公開され、2017年4月の巨大ブラックホールが非常に「おとなしい」状態にあったことが明らかになりました。また、観測データと理論モデルを比較したところ、EHTで観測された光子リングとは異なる場所でガンマ線が放射されていると考えると観測結果をうまく説明できることがわかりました。これは、巨大ブラックホールが噴き出すジェットが複雑な構造を持っていることを示す結果であり、ジェットの形成や多彩な電磁波放射メカニズムの解明に重要な手がかりを与える成果といえます。

この研究の理論モデル計算を担当した工学院大学の紀基樹 客員研究員(教育推進機構)は、「これほど豪華な多波長同時観測データと理論モデルを比較する機会は初めてなので、とてもワクワクしました。最初は、定説通り一つのコンパクトな場所から全ての電磁放射が発せられているのだろうと考えていました。ところが、計算を進めていくうちに実はそうではないことに気が付きました。そこで私たちは、世界中のプロジェクトメンバーとオンラインディスカッションを重ね、ガンマ線はEHTが観測した光子リングとは異なる広がった領域で放射されている可能性が高いことを突き止めました。これはブラックホール近傍での電磁波放射メカニズの謎を解明する大きなヒントになるでしょう。」と述べました。

この研究は、地上・宇宙からの観測に計19台の多波長望遠鏡、32の国と地域から総勢760名を超える研究者が参加した、ジェットを持つ巨大ブラックホールの観測としては天文学史上最大規模の観測キャンペーンとなりました。
天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』オンライン版
本研究成果は、“Broadband Multi-wavelength Properties of M87 During the 2017 Event Horizon Telescope Campaign”として、2021年4月14日に掲載
Event Horizon Telescope
EHT-Japan