建築学部建築デザイン学科の冨永研究室が改修を監修した国登録有形文化財「旧蚕糸試験場新庄支場」について、第一期工事が2021年1月に終わり、6月5日に文化交流施設としてオープンしました。
冨永研究室(指導教員:冨永 祥子教授)と篠沢研究室(指導教員:篠沢 健太教授)は、新庄市からの委託を受け、2014年の実測調査を皮切りに、2年間かけて耐震補強・保存利活用提案書の作成を行いました。2017年からはこの提案書を元に、冨永研究室がこの施設のうち3棟の蚕室の改修設計に携わりました。歴代の研究室の学生たちも関わり続け、行政・地元の建築関係者の方々、市民の皆さんと一緒に新庄を盛り上げてきました。
歴史ある一帯の工事に区切りがついたことから、新庄市の広報誌「広報しんじょう(令和3年5月10日号)」の巻頭に、大々的に取り上げられました。加えて、「新建築6月号」には、写真と図面、そして冨永先生のコメントが、見開き4ページに渡って掲載されました。
旧蚕糸試験場新庄支場について
山形県新庄市の登録有形文化財で、良質な蚕と桑の生産を目的とした旧農林省の研究施設。
昭和初期に同じ形式の施設が日本全国に設置され、庁舎・蚕室(蚕の飼育施設)・渡り廊下といった建物群と広大なランドスケープが丸ごと残っているのは、全国でもこの新庄支場のみ。
2014年からの活動一覧
2014年 |
同地の現地調査開始。工学院大学の冨永研究室・篠沢研究室・後藤研究室、千葉工業大学の多田研究室が実施。 |
---|---|
2015年 |
敷地内で開催された「環境芸術祭」に木格子インスタレーションを出展。市民報告会で提案の中間発表。 |
2016年 |
施設全体の耐震補強+利活用提案書を市に提出。 |
2017年 |
第五・第四・第一蚕室の順で改修設計を開始。市との打合せや1/50 模型・モックアップの製作 |
2018年 |
1棟目「第五蚕室」竣工。オリジナルの雰囲気を復活させ、新しい木柱・補強材を追加して、分割しながらも見通しの良い「中」サイズの空間に(写真:小川重雄)。 |
2019年 |
街の宝(建築や町並み)を生かして街を盛り上げるために、地元の方、学生が皆で考える「まちづくりワイワイシンポジウム」を開催。 |
2020年 |
2棟目「第四蚕室」竣工。既存の柱を活かした耐震壁による「小」の空間が特徴(写真:小川重雄)。 |
2021年 |
3棟目「第一蚕室」竣工。木造に近いサイズの鉄骨フレームを使った大空間が開放的(写真:小川重雄)。 |