オンラインでの研究紹介イベントでは、イベントサイトに研究を説明したポスターや解説動画が添付されており、来場者は会期中に自由に閲覧する形式が多いです。工学院大学では、このポスターや動画作成を研究室の学生(学部4年生~大学院生)が担当し、専門知識の定着に繋がっています。
学生が動画作成に関わったのは、「イノベーション・ジャパン2021~大学見本市Online」です。国内最大級の産学マッチングイベントで、主催者であるJSTが採択した研究が出展されます。過去、東京ビッグサイトなどで開催されていた時期には、学生が現地で研究概要を説明することで、様々なニーズに合わせる専門性や柔軟性、コミュニケーション力を磨いてきました。
今年の同イベントは、8 月23 日(月)から9 月17 日(金)にオンラインで開催され、全国の大学等から全400件の最新研究が専用サイトで紹介されました。学生の成長の場も「動画制作」というオンライン対応にしたところ、リアル会場開催と同様の効果が得られたことがわかりました。以下にアンケートの一部を紹介します。
学生アンケートより(抜粋)
わかりやすくまとめる力がついた
- 私たちが研究活動で当たり前に使ってきた用語を見直し、分かりやすい言葉に伝える作業は、知識を見直す場となりとても貴重な経験と感じた。有識者からの質問を受けることで、実験の解析の幅を増やす糸口をつかむことができた。
- 全体を通じて、企業がどのような情報を必要としていているのか、何も知らない人に向けてどのように説明したらよいのかを学べた。また、他の研究室・大学がどのようなモチベーションをもって、研究を行っているのかを知るきっかけにもなった。
- 実際に実験をするだけではなく、イベントサイト内の我が研究室ページを見に来てくださった方々に「いかに見せるか」や「いかに喜んでもらえるか」という視点を学んだ。
- 研究の中で最もインパクトのある内容を見極めて、それを分かりやすくまとめる力がついた。
- ポスター、動画の両資料とも、対象者が専門知識を持たない方々へ向けたものであり、誰が見てもわかりやすく、尚且つ研究成果が印象的に見えるよう工夫するという経験を得た。
新たな気付きを得た
- 自分たちの研究していることを大学外に発表し、社会に役立てるきっかけにする。このような取り組みを通して、自分の研究を客観視するきっかけになった。
- 他大学の展示は、問題解決へ向けたアプローチの方法が参考になる。展示資料のポスターが非常に分かりやすく端的にまとまっており、今後の資料作成に役立てたい。
- 来場者とディスカッションし、違った観点での研究の見方や、新な実験条件のアドバイスをいただいた。
- 自分で動画を聞き直してみると、声量やテンポが悪く聞きづらいことや、抑揚が欠けることに気付かされた。そのため何度か撮り直して、良い練習になった。
- 現在取り組んでいる研究内容の大切さと、内容の奥深さを改めて認識した。
- 動画作成を通じて企業がどのような情報を必要としているのか、また、それをどのように伝えればわかりやすく伝わるのかを知ることができた。
- 動画作成にあたり、はじめに先生と話し合って今回提示する動画の方針を決定してから作業を行った。しかし、完成させた動画は先生の意図とは少し差異が生じており修正を指示された。大学生活において他人と1つのものを作り上げることがなく、今回の経験を通して、他人の意図をくみ取りそこに自分の意思もうまく取り入れつつ1つのものを作りあげる難しさを学べた。
- イノベーション・ジャパン2021出展一覧