天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功

2022/05/13

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国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)・コラボレーション」は、地球規模の電波望遠鏡ネットワークを使って、私たちが住む天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールの撮影に初めて成功しました。今回の結果は、この天体が間違いなくブラックホールであることを示す揺るぎない証拠であり、多くの銀河の中心に存在すると考えられている巨大ブラックホールの働きについて貴重な手がかりを与えるものです。

  • クレジット:EHT Collaboration
【プレスリリース】天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功 [528KB]

研究の概要

今回撮影された画像によって、私たちが住む天の川銀河のまさに中心に存在する大質量天体の姿が明らかになりました。これは多くの研究者が待ち望んでいた成果です。これまで天の川銀河の中心領域において、非常に重く、コンパクトで目に見えない何らかの天体の周りを星たちが回っていることが観測されていました。この天体は「いて座A*(エースター)」として知られており、これらの間接的な証拠からブラックホールであることが強く示唆されていました。本日公開された画像により、いて座A*がブラックホールであることを示す初めての視覚的かつ直接的な証拠が得られました。

EHTコラボレーションのメンバーで、また東アジアVLBI観測網(EAVN)活動銀河核研究班のコーディネーターも担当する紀基樹客員研究員(教育推進機構)のコメント

「いて座A* の電波放射は降着流とジェットのどちらから来ているのか、長らく議論が続いています。今回EHTコラボレーションの理論シミュレーション班が行った計算では、ジェットを噴出しているモデルがEHT観測データを説明しやすいことが分かりました。ところが、他のいて座A*の観測でははっきりとしたジェットが見つかっていません。今後、さらにEHTとEAVNの観測を推進して、巨大ブラックホールから噴出するジェットの駆動メカニズムの謎に迫りたいです。」

EHTチームの成果は米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』特集号に2022年5月12日付で掲載されました。

研究詳細 国立天文台サイト
Event Horizon Telescope Japan

取材に関するお問い合わせ 学校法人 工学院大学 広報課
担当:堀口・廣田・森川
E-mail: gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp
TEL: 03-3340-1498