ムーミンは、日本はもとより世界中の人々に幸せな笑顔をもたらすキャラクターです。ムーミンを通じてフィンランドの文化に親しみ、旅行に出かける日本人は少なくありません。また、日本のデザイナーや建築家にとっても、ムーミンの世界観は深遠なる北欧の入り口として機能しています。トーベ・ヤンソン氏の意思に反し、1969年からのアニメ放送ではムーミン一家の身体は灰色や青に彩色され、各国でグッズが作られていました。トーベ氏の死後、それを本来の白に戻したのは、会社を継いでライセンスを管理したソフィア・ヤンソン氏の功績です。現在、ムーミンのブランドは多様に展開し、日本では450億円の経済効果をあげて世界市場の半分を占めるまでに成長しました。JFDAでは芸術の著作権を保護する重要性と、芸術家の親族が次世代へコンテンツを継承する責務は年々高まっていることに着目しました。
また、ソフィア氏はインタビューで「トーベが葛飾北斎など浮世絵の雨の描き方に影響を受けたこと」や、「第二次世界大戦後、トーベの平和を望む姿勢がムーミンの物語にも強く反映されていること」、「ムーミンが自然と共生して生きる姿が、日本の神道の視点と一致し、日本人がムーミンに共感しているのではないか」と述べています。JFDAでは両国の多様性と自然観および平和への希求を鑑み、トーベ・ヤンソン氏に敬意を表すると共に、ソフィア・ヤンソン氏が日本とフィランドの文化交流に多大に貢献していることを顕彰します。

"I feel deeply humbled by receiving the JFDA Award 2023, and the recognition for trying to bring Japan and Finland closer together through Tove Jansson’s literature and art. Were she alive, Tove Jansson would be very honoured that her expression has led to a fruitful cultural and commercial exchange between our countries. The continued interest in the Moomins still inspires many of our nations citizens to further their adventures and research into our respective cultures.”

JFDAアワード2023を受賞し、トーベ・ヤンソンの文学や芸術を通して日本とフィンランドの距離を縮めようとしたことを評価していただき、深く身の引き締まる思いです。トーベ・ヤンソンが生きていれば、彼女の表現が両国の文化的、商業的な交流を実りあるものにしたことを大変光栄に思うことでしょう。ムーミンへの関心は、今もなお、多くの国民を刺激し、それぞれの文化への冒険や研究をさらに進めています。