建築専門紙に後藤理事長のコメントが掲載されました

2024/01/16

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建通新聞(2024年1月3日付、新春特集号)において、後藤治理事長のインタビューが掲載されました。文化庁の有識者会議で座長として提言をまとめた背景や思いを語りました。

  • 建通新聞2024年1月3日付、新春特集号第2部、12面より
  • 建通新聞から記事二次利用の許可を受けています(PDFおよびテキスト)。

※以下、掲載紙より抜粋

「建築」という文化

Interview 工学院大学理事長 後藤治 氏

 

「建築」を文化として意識する機会が普段、どれほどあるだろう。能・歌舞伎といった伝統芸能やアニメーション、あるいは和食は日本が誇り、また海外の多くの人が魅力に感じる文化だ。しかし、寺社などの伝統建築はもちろん、戦後の著名建築家の手による名建築や、日々私たちが目にする町並みも日常生活を構成する貴重な文化ではないだろうか。文化庁の有識者会議で座長を務め、建築文化の振興を提言した後藤治工学院大学理事長に思いを聞いた。

 

—文化庁の有識者会議が「建築文化」の振興へ立法措置を提言する報告書をまとめた。

「もともと、文化芸術基本法に建築に関する視点が抜け落ちているという認識があった。建築が文化と見られていないというよりも、他の芸術とは扱いが違う。ならば基本法に『建築』を追加するよりも、単独の法律を作るくらいの意気込みで取り組もうということになった。今後は何を法律事項とすべきか、さらなる整理が必要になるものと思う」

 

—必要な論点は何か。

「一つは、著名な建築家による近現代建築が(開発などで)失われているという点だ。もう一つは、伝統的建造物を対象とした『町並み保存地区』には該当しないものの、市民から大事にしたいと思われるような、新宿のゴールデン街をはじめとした『界隈性』をいかに保護するか」

 

—地域の名建築、町並みをどのように保全すべきか。

「前向きな自治体が後押しするような仕組みが有効ではないだろうか。例えば国土交通省は、古民家再生などの取り組みに対し、建築基準法の適用を除外するための条例整備を後押しするガイドラインを整備している」
「金沢市の『こまちなみ保存条例』や京都市の京町屋の認定など、独自制度を工夫している自治体は少なくない。そうした取り組みを、建築文化振興の名の下に応援できる仕組みを作れればいい」
「近現代の名建築が失われているというのも、大事にされていないわけではなく、保全を応援する仕組みがないことが大きいのではないか。コンパクトシティーを推進する流れの中で、公共施設の統廃合を補助する仕組みが整い、結果として解体が進んだ面はあるかもしれない。だからこそ、名建築を残したい自治体が使いやすい仕組みがあればいい。法律だけではなく、自治体の条例と連動することが需要だ」

 

—建築業界は建築文化に対してどう貢献できるのか。

「一つは、いかに伝統技術を取り入れるかだ。左官や軸組木造というだけでなく、家具なども含めた生活文化全体を意識する必要がある」
「建築生産は、地域経済を循環させるエンジンの役割を果たす。『衣食住』のうち食の分野では地産地消が浸透してきているが、次は住だと考えている。家造りを大量生産から、地産地消に戻していくことが大事なのではないか。」