並木則和教授(環境化学科)が、2016年度化学工学会技術賞を受賞し、2017年3月6日に開催された化学工学会年会の開会式で表彰されました。同賞は、化学工学に関する技術または化学関連産業の技術に関して特に業績のあった共同研究・開発者を表彰することによりその成果を讃えるとともに本学会会員の意識の⾼揚をはかることを⽬的とした賞です。
今回受賞対象となった研究開発は、『固定発生源からのPM2.5/PM10排出量計測用バーチャルインパクタの開発と国際標準化に基づく製品化』です。2009年度より我が国でもPM2.5の規制が開始される中で、発電所や製鉄所等の固定発生源からの粒子の質量濃度測定法としてバーチャルインパクタ(VI)を使用した手法が、代表者である神谷教授(東京農工大学)の主導の元で国際規格ISO13271として2012年に制定され、さらに国内規格JIS Z 7152が2013年に制定されました。以上の背景の中で代表者以下共同研究者である並木教授他の協力・連携のもと、これらの規格にある分級性能を満足するVIの基本仕様を決定し、さらに2008年から2012年の長期にわたる試作器を用いた国内および海外での実際の煙道での測定を通して、実環境で使用しやすい仕様に改良した上で、添付の記事に示すように我が国で初めて2013年に商品化にこぎ着けたことが受賞理由です。
受賞コメント 本研究開発は、東京農工大学の神谷教授および塚田先生との共同研究で、煙道用のバーチャルインパクタを開発して性能評価を行い、さらに共同受賞した企業2社との提携により製品化にこぎ着けました。このように、大学で開発した機器が製品化に至るには、本来の性能のみならず、購入者への使い勝手等も考慮して製品化を行う必要があり、その点で異なる苦労がありました。今後とも、他機関と連携して独創性のある研究およびそれに立脚した製品の開発を行きたいと思います。