KRT(工学院レーシングチーム)が、9月6日から5日間、静岡県袋井市の小笠山総合運動公園エコパで行われた「第20回学生フォーミュラ日本大会2022」に参戦しました。9年ぶりに全種目を完走し、50以上のチームが参加する中、チーム歴代最高順位の総合7位を記録しました。さらに、自動車工業会会長賞を受賞しました。
大会では車の走行性能だけでなく、車両コンセプト・設計・コスト審査など、ものづくりの総合力を競います。マシンの製作にあたって、機械・電気に限らず幅広い実践的な知識を習得するとともに、性能向上・原価低減・商品性向上などにチャレンジします。審査は、車検、静的審査、動的審査の審査結果、計1000点満点で順位を決定されました。
2020年の大会中止、2021年の動的種目中止を経て実に3年ぶりの現地開催となりました。KRTのメンバーは先輩たちの意志を受け継ぎ、コロナ禍にはオンラインも活用しながら、今大会に向けて車両開発を進めてきました。事前にオンラインで行われた実施で静的審査の結果は21位で、巻き返しを狙う心意気で大会に臨みました。
2020年の大会中止、2021年の動的種目中止を経て実に3年ぶりの現地開催となりました。KRTのメンバーは先輩たちの意志を受け継ぎ、コロナ禍にはオンラインも活用しながら、今大会に向けて車両開発を進めてきました。事前にオンラインで行われた実施で静的審査の結果は21位で、巻き返しを狙う心意気で大会に臨みました。
大会レポート 1日目(9/6)
大会初日、会場は不安定な空模様で時折激しい雨に見舞われ、ピットは雨対策で慌ただしくしながらも2日目の車検に向けて車両整備を行いました。
車検に向けて車両整備中、各パーツのレギュレーション適合の確認をしていたところ、9月頭に導入した吸気系統を起因としたレギュレーション不一致箇所が数点判明しました。作業終了時刻が迫り、明日の車検に間に合うのか、焦燥感を覚えながら作業するメンバーもいましたが、チーム上級生による指示により、適切な処置を施しました。
当日中の修正完了には至りませんでしたが、2日目の朝に作業を残す形となってしまいましたが、できる限りの作業を行い、最善を尽くした上で1日目を終えることができました。
大会レポート 2日目(9/7)
2日目は朝から雨が降り続き、時折かなり強い雨に打たれながらの1日となりました。朝一番には1日目で残した作業を早急に行い、定刻通りに技術車検に向かうことができました。
技術車検では新規導入した吸気系統の固定部の不足や、リストリクター径のレギュレーション違反の指摘を受けた他、ボディやアクセルペダルなどにも複数の指摘があり合計12項目もの指摘を受けました。
車検後、吸気系統の新規ステーの製作、リストリクター径のパテによる修正など各指摘事項への対応を精力的に行い、初回車検の5時間後には2回目の車検を受けることができました。2回目の車検では軽微な指摘を3つもらいましたが即座に修正を行い、3回目車検で技術車検合格となりました。
技術車検通過後は、スピーディにドライバー脱出試験、フラグテストを終え、その後もすぐにチルトテーブル試験、重量測定を終えることができました。車検終了の時間により、長蛇の列となっていた騒音試験を受けることができず、それに伴ってブレーキロック試験も受けることができませんでした。
3日目は、騒音試験、ブレーキロック試験を通過次第、アクセラレーション、スキッドパッド等の動的審査へと進みます。車検2項目を3日目に繰り越す形となってしまいましたが、3日目の朝一番で車検を終えて走行競技に支障のないように努めます。
大会レポート 3・4日目(9/8・9)
3日目からは走行競技が始まりました。午前中は2日目から降り続いた雨に見舞われましたが、午後からは晴れる展開となりました。
朝一番に、昨日の車検で残してしまった項目である騒音試験とブレーキロック試験に臨みました。排気系に改善を施していたものの多少不安があった騒音試験は1回目で通過し、ブレーキロック試験についても2トライ目で合格することができました。午前中の雨が降っている間に残りの車検を終えることができ、車検通過が遅れた影響を最小限に留め、午後の晴れた路面での走行に臨めました。
アクセラレーションとスキッドパッドの競技ではドライに近い路面での走行を行うことができましたが、本年度車両で計測した練習時のタイムを上回ることができず、少なからず後悔は残りましたが、下記のタイムを残すことができました。
・アクセラレーション 4.786秒 7位 [トップ比 +0.550秒]
・スキッドパッド 10.758秒 5位 [トップ比 +0.762秒]
また、路面もほとんどドライとなったオートクロスでは2名のドライバーによる渾身のアタックにより、2名とも61秒台のタイムを叩き出しました。しかし、走行中のコースリミットにあたるパイロンに接触しペナルティタイムが加算されてしまいました。結果としてペナルティの課されていない1回目のアタックの62.464秒がベストタイムとなりました。
・オートクロス 62.464秒 11位 [トップ比 +5.168秒]
また、この時点で公表されている審査及び競技の得点を合算した順位は総合6位となり、歴代最高順位への期待が高ましました。
3日目の走行結果より、最終種目であるエンデュランスの走行日が5日目に決まったため、4日目は車両整備を行うこととなりました。不安と期待を胸に最終日に実施されるエンデュランスに向けて万全な準備を行います。車両整備の後は、他大学との交流を行い車両やチーム運営等について意見を交わしました。様々なチームと車両を見ながらディスカッションを行える貴重な機会を逃さず、来年度の車両に活かせるような知見や構想など、様々なアイデアをいただきました。
大会レポート 5日目(9/10)
5日目はAグループとしてエンデュランスに出走しました。4日目の車両整備により、万全の状態です。余裕をもって10時のスタートラインに並ぶことができました。
ファーストドライバーは1"09.152を記録し、コンスタントに1"10~1"12のタイムで集会を重ねました。後半、操舵のためにハンドルを強くきらないといけない車両に苦戦しつつも、無事にセカンドドライバーにタスキを繋ぐことができました。
無事にタスキを受け取り、好調なエンジン再始動によりスタートしたセカンドドライバーの走行ですが、水温がなかなか下がらない事態に陥ってしまいました。クーリングラップを重ねてもなかなか水温が下がらず、ドライバーは水温のマネジメントをしながらの走行を強要されました。なるべく高いギアでの走行でクーリングを行っていましたが、低速ギアに比べてトラクションがかからずアクセルで車両を曲げることができなかったため、ファーストドライバー以上に体力を消耗しました。
無事にタスキを受け取り、好調なエンジン再始動によりスタートしたセカンドドライバーの走行ですが、水温がなかなか下がらない事態に陥ってしまいました。クーリングラップを重ねてもなかなか水温が下がらず、ドライバーは水温のマネジメントをしながらの走行を強要されました。なるべく高いギアでの走行でクーリングを行っていましたが、低速ギアに比べてトラクションがかからずアクセルで車両を曲げることができなかったため、ファーストドライバー以上に体力を消耗しました。
セカンドドライバーはかなりの苦戦を強いられましたが、ドライバーの水温マネジメントの結果、無事に完走することができ、チームとしては9年ぶりの全種目完走となりました。
私たち、工学院大学学生フォーミュラ、工学院レーシングチーム(KRT)は総合7位という結果を残すことができました。チームとして初めて1桁順位を達成することができました。
学生フォーミュラ日本大会2022 結果
種目 | 順位 | 得点 | タイム | |
---|---|---|---|---|
静的審査 | コスト | 29位 | 19.62 | |
デザイン | 27位 | 60 | ||
プレゼンテーション | 9位 | 64.62 | ||
動的審査 | アクセラレーション | 7位 | 64.07 | 4.786s |
スキッドパッド | 4位 | 47.86 | 5.379s | |
オートクロス | 11位 | 93.4 | 62.464s | |
エンデュランス | 10位 | 168.44 | 1487.220s | |
燃料効率 | 8位 | 62.75 | ||
総合 | 7位 | 583.76 |
KRTチームリーダー 山邉 港さん(機械工学科3年)コメント
このような成績を残せたのはこれまでチームを支援・応援して下さった皆様、チームに技術を継承してくださった先輩方のおかげです。誠にありがとうございました。今後とも変わらぬご支援を承りますよう、何卒よろしくお願いします。これから、今年度の反省、次年度の人事や車両のコンセプトを決め、さらなる速いマシンの製作を行っていく所存であります。今後のKRT23の活躍に、どうぞご期待ください。