11/8(火)、新宿キャンパスにて、建築学部主催「レクチャーシリーズ2022」を開催しました。レクチャーシリーズは、一年に一度、先進的な活動を展開する外部講師を迎え、建築・都市の未来を考える特別講演会です。建築学部開設以来、20名を超える講師が講演を行っています。
2022年度は、建築家の遠藤現氏が登壇し、20世紀を代表するアメリカの建築家、フランク・ロイド・ライト(1867-1959)について講演しました。当日は、鈴木敏彦教授(建築デザイン学科)が司会を務めました。
講演では、ライトの生い立ちを踏まえた初期の建築の特徴や、帝国ホテルの建築と遠藤現氏の祖父である建築家 遠藤新との関わり、山邑邸(兵庫県芦屋市)とホリホックハウス(アメリカ カリフォルニア州)との比較、後期の建築の特徴などが解説されました。
初期の説明では、ウィスコンシン州の緑豊かな草原で生まれ育ったライトが、シカゴ万博 日本館の鳳凰殿に魅了されたこと、建物の空間が外に対して開かれていることに感銘を受け、ウィンズロー邸やロビー邸など、プレイリーハウスと呼ばれる、平たく横に広い草原住宅を手掛けるようになったことに触れられました。
1923年頃に手掛けた帝国ホテルと山邑邸の設計においては、ライトの渡日の経緯や遠藤新との出会いのほか、道路に対して圧迫感を与えず、もとの自然の地形を生かすという、ライトの考えが生かされた建物の特徴が紹介されました。山邑邸の建築においては、遠藤新がライトの意思を継いで建築デザインを行い、日本の高温多湿の環境を踏まえた換気口などの設計を行ったことが説明されました。
また山邑邸は、1917年に建設されたホリホックハウスと類似点があり、特に、外観の屋根とファサードの形が極めてよく似ていることを、写真を用いて解説しました。
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山邑邸(兵庫県芦屋市)
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ホリホックハウス(アメリカ カリフォルニア州)
最後に、ライトの後期の建築においては、プレイリーハウスで手掛けた高級住宅だけではなく、「中流階級である一般の人々も素敵な家に住む時代にしていきたい」というライトの意思が反映された、ユーソニアンハウスを手掛けたことが解説され、 遠藤現氏自身が手掛けたユーソニアンハウスの紹介をし、講演は終了しました。
当日はオンライン・対面で、在学生を中心とした70名を超える聴講者が集まり、建築の過去を知り、未来を考える貴重な機会となりました。