一夜限りの遊べる銭湯!?  学生プロジェクトの「創造力」と「実行力」が生んだ価値のある結果

一夜限りの遊べる銭湯!?  学生プロジェクトの「創造力」と「実行力」が生んだ価値のある結果

2019 / 11 / 21
入浴料「KUTE Honey In The Bath」の製作をきっかけに進めてきたみつばちプロジェクト(以下みつプロ)とScience Create Project(以下SCP)のコラボレーション企画。この入浴料でもっと面白いことができないかワークショップを通して考え、約10ヵ月間かけてアイデアをかたちにしていきました。そして、11月11日に2つのプロジェクトが企画・運営したイベント「一夜限りの遊べる銭湯!おふろあそび2.0」を開催しました。
今回の「窓」では、初めての試みに挑んだ学生達の姿とそのプロセスをご紹介します。

2019.1 新プロジェクト始動

きっかけは学生プロジェクト同士のコラボレーションによる入浴料開発

目的も活動内容も異なるSCPとみつプロですが、学生プロジェクト初のオリジナルグッズ、入浴料「KUTE Honey In The Bath」の開発を目的にコラボレーションしたことをきっかけに新しい挑戦がスタートしました。この入浴料には八王子キャンパスでみつプロが採蜜したハチミツが含まれていて、多くの人に手にとってもらい、学生プロジェクトの活動を知ってもらうことを目的に作られました。

「やってみたい」「面白そう」からアイデアをかたちに(1月~)

入浴料開発後、配布はもちろんですが、これをどのように使えば活動の幅が広がるか、学生達はワークショップを通して考えました。メンバー一人一人が自由にアイデアを発想していったところ、そのほとんどに「科学実験・エンターテイメント・お風呂」の3つのキーワードがあてはまることを発見。そこから今回のイベント「一夜限りの遊べる銭湯!おふろあそび2.0」が生まれました。

一夜限りの遊べる銭湯! おふろあそび2.0

子どもの頃のお風呂は実験室みたいなもの。泡の出る入浴料、シャボン玉、ひよこのおもちゃ、水鉄砲...などわくわくする要素がたくさんありました。お風呂遊びをアップデートすれば、もっと楽しい体験ができるのではないかと考えた学生達は、銭湯を貸し切って子ども達をいつもの何倍も楽しいお風呂に招待するイベント「おふろあそび2.0」を企画しました。

クリエイター、銭湯を巻き込んだ初めての試み(6月~)

今回会場としてご協力いただいたのは、杉並区にある「井草湯」。井草湯さんは、地域に愛される銭湯として昭和28年に創業した銭湯です。2018年に3代目が「子どもも楽しめる銭湯」としてリニューアルオープンしました。学生が店主さんに企画意図を説明したところ、「子どもが喜ぶことなら是非」とイベント開催を快諾いただきました。
次に、規模の大きい貸し切りイベントを実施するためには協力者が必要と考え、アイデア出しのワークショップからサポートしていただいているロフトワークさんと連携し、外部のクリエイターにブース出展をしていただけないか打診しました。その結果、4社のクリエイターの方々に賛同していただきました。
学生達自身は、ブース出展はもちろんのこと、実行計画から当日運営の準備まで、幅広く行うことになりました。

2019.9 リサーチ開始、実装へ

リサーチ&アイディエーション:井草湯の特徴をリサーチし、アイデアを発散する(9月~)

早速、井草湯に行き、イベントのコンテンツを考えるリサーチを実施。どんな浴槽があり、どんな演目を作ることができそうか意見を出し合い、外部のクリエイターとも一緒になって、誰がどのエリアを担当するかを決めました。演目のアイデア出しでは、銭湯に特徴的な広い洗い場やかけ湯のスペースも最大限に活用できるよう、知恵を絞りました。

実行計画:準備物の計画から、当日運営のシフト計画まで(10月~)

演目準備と並行して、当日の運営体制も考えていきます。サポートに入ってくれているロフトワークさんとのミーティングを重ねながら、来場者をどのように案内するとスムーズか、スタッフの配置はどうするかなどを確認していきました。多くの子ども向けイベントに出展してきたSCPの経験が生かされました。

プロトタイプ&テスト:提供する体験の精度を高め、実現度を検討(10月~)

演目が銭湯の設備で実現が可能か、どうすれば子ども達により楽しんでもらうことができるのかなど、銭湯で実際にテストを行いながら試行錯誤を繰り返し、当日ギリギリまでコンテンツの精度を高めていきました。

情報発信:地域の子どもに来てもらうためのアプローチ(10月~)

地域の子ども達に一番楽しんでほしいため、井草湯周辺でイベントを情報発信しました。井草湯さんにご協力いただき、お隣のスーパーで子どもに受け取ってもらいやすいステッカー型のチラシ配布、ポスターの設置を行いました。さらに一週間前には、井草湯でミニ科学実験教室を開催し、遊びに来ていただいた親御さんにイベントを告知しました。その結果、杉並区の情報発信サイトなどでも取り上げられました。

設営&当日運営:設営から案内まですべてを学生が担当(11月11日)

いよいよ開催日。当日は昼頃には会場につき、夕方に開催されるイベントに向けて事前に練った計画をもとに準備を進めていきました。難しいと考えられていた隣の浴槽との連結部分を一時的に塞ぐ作業から、子どもが怪我をしないように角にクッション材をつける作業まで、子ども達が楽しむ様子を思い描きながらできる限りの用意をしました。開催30分前には当日の流れを再確認し、各自担当する受付のタスク・注意点の最終チェックも行いました。

2019.11.11 一夜限りの遊べる銭湯!おふろあそび2.0、ついにイベント本番

300人以上の方が来場!

開始時間の17:00から、想定を大きく超える人数のお客様が来場。一気に列ができてしまいましたが、床に列を作るための線をテープで引くなど、たくさんのお客さんが混乱しないような仕組みをその場で考え、臨機応変に対応しました。学生プロジェクトの活動を通して身につけた問題解決力を発揮した瞬間でした。子ども達は、ワクワクして落ち着かない様子でしたが、しっかり列に並んで待ってくれ、徐々に長蛇の列は緩和していきました。
イベントを知った経緯の中で特に多かったのが、お隣のスーパーでのチラシ配布やミニイベントで知った方からの口コミ。学生達の情報発信がちゃんと実を結んでいました。

お風呂での体験を「アップデート」。 その内容と結果は?

「おふろあそび2.0」イベント本番では、銭湯という場所を生かし、ゲーム性のあるものから、泡やシャワーなどお風呂にあるものをアップデートしたコンテンツ、バブルバスづくりやお風呂の環境を生かした科学実験まで、お風呂遊びを目一杯楽しめる演目を全部で15個用意しました。

工学院大学チーム出展ブース

SCP シャボン玉に入る非日常的体験。「巨大シャボン」

みつプロ はちみつ入りのお肌に優しい入浴料づくり。「バブルバスづくり」

SCP 自分だけの実験室で、科学者になれる!「実験室」

みつプロ まぜると光る不思議な水でみつばちの視ている世界を体験。「光る水」

SCP 叩けば硬く、撫でると柔らかく!「ダイラタンシー」

みつプロ コロコロ転がるカプセル速さの違いを生む謎を解明。「カプセルころがし」

クリエイター出展ブース

泡でお風呂の時間がもっと楽しくなる。「泡パ®︎ラボ」

超能力を身につけて、水を的に飛ばそう!「めざせ!ハイドロポンパー」

泡で遊べると、からだを洗うことがもっと楽しくなる。「色つき泡で遊ぼう!」

ぷかぷか浮かぶかるたをゲット!「ぷかぷかカルタ」

イベントを終えて…… 「面白かった」「楽しかった」嬉しい声がたくさん

お客さんの声(アンケートから抜粋)

人気だった演目

どの演目も人気でしたが、出口で子ども達にどれが一番おもしろかったか聞いたところ、意見が集中したのは「泡パ®︎ラボ」でした。他にはゲームとして楽しめるものや、シャボン玉に入るような非日常的な動きのある体験に意見が集中しました。プロとして活躍する外部クリエイターの発想力・実行力は見事で、学生達にとって大きな学びとなりました。

人気ベスト5
1 泡パ®︎ラボ
2 ぷかぷかカルタ
3 巨大シャボン
4 めざせ!ハイドロポンパー
5 色つき泡で遊ぼう!

実行により見えてきた課題と学生プロジェクトが育んでいる力

ワークショップでのアイデア出しからイベント企画・運営まで学生にとって初めての試みばかりだった今回の取り組み。自ら運営してみることで、リスク管理などの課題もでてきました。しかし、想定外の事態にも主体性を持って関係者と調整し、協力し合いながら臨機応変に対応することで、大盛況のうちにイベントを終えました。
学生達は11月にイベントを終えたところですが、早速次の活動に目を向け、今回学んだことを生かそうとはりきっています!2020年3月には新しいコラボ商品「KUTE Honey ハンドクリーム」が完成する予定です。今後の活躍にもご期待ください!

メンバーズボイス

今回企画運営に携わったみつプロ・SCPメンバーのコメントを紹介します。様々な課題もありましたが、最後までやりきったからこそ、喜びと次に繋がる実感を得られたようです。

○井上 飛翔(SCP・リーダー)

「お風呂あそび2.0」 を行うにあたって、半年以上も前から準備をしてきました。何回ものアイデアワークを行い、何をどうやったら楽しいことが出来るのかというのを考える作業は、普段の活動とは一味違ったもので、非常に楽しかったです。当日は予想を超える人数で、それに伴いハプニング等が発生しました。その中で臨機応変に対応できたこと、出来なかったことがあり、色々な課題が見つかりました。子ども達に、安全に楽しく学びのある体験を提供する側として、今回のイベントは楽しさも含め、自分達にとって非常に学びのあるイベントになったと思います。お風呂遊び2.0を行うにあたって、ご協力していただいた井草湯さん、ロフトワークさん、クリエイターのみなさん、大学の職員の方々、本当にお世話になりました!

○上村 葵(SCP・支部リーダー)

今回、普段交流する機会がないようなロフトワークさんをはじめとしたクリエイターの方と一緒にイベントが運営でき、とてもいい経験ができました。今までのイベントでは施設を借り切っての大きなイベントが少なく、ブースの運営だけがほとんどなので、会場全体の運営に携われたのは勉強すべき点が多くあり、今後の自分達の活動に繋げたいと思います。イベントの時間が短く、水着などの持ち物があったにもかかわらず、多くのお子さんが来場してくださり、イベントに参加していただけたのも、井草湯さんはじめロフトワークさん、クリエイターのみなさん、学校の職員の方のおかげです。ありがとうございました。

○酒匂 拓海(みつプロ・リーダー)

今回の「おふろあそび2.0」は、養蜂をはじめとしブース出展や商品作製などを基本の活動としている我々みつばちプロジェクトとしては、初めてばかりのイベントでした。実はアイデア出しから難航し、当日も準備に想定以上の時間がかかってしまい、どうなる事やらと思っていました。しかし、演目を始めてみると子ども達のエネルギーいっぱいの笑顔を見せてくれて、自然とこちらにまで笑顔が拡散。銭湯という古くからある身近な場所で、多くの人があまり身近に感じていない科学を"実演"し、子ども達のみならず、保護者の方々に科学の楽しさを知っていただけたイベントとなったと思います。不手際も多く反省点もありましたが、みつばちプロジェクトとして、科学を学ぶ一学生として、得るものの多い経験になったと思います。本イベント開催に際し、大学内外の多くの方々に助けていただきました。本当にありがとうございました。

○内堀 祐香(みつプロ・支部リーダー)

普段参加するイベントではみつばちの魅力を"伝える"ことが中心であったため、一緒に"体験する"というのは新鮮で学びの多いイベントとなりました。みつばちとお風呂をつなげることは普段の活動内容では難しく、1からの演目作成となったため大変ではあったもののやりがいや今後の活動の幅を広げることができました。当日は想定以上の大盛況で多くの方々に来ていただき、親子・友達同士で実際に楽しんでもらえている様子を近くで見ることができたのはとても嬉しかったです。一方で、ひとりのお子さんに怪我させてしまうなどリスク管理の甘さ・事前の想定の重要さを痛感しました。ただ非日常的な空間で、いつも出会うことのない方々とひとつのイベントを行うことができ、私自身もとても楽しかったです!アイデアワークから始まり、ひとつの製品からイベントに繋げて実現できたことは大きな糧となりました。今回の経験を今後の活動に繋げていきたいと思います。貴重な経験をありがとうございました。

○ロフトワーク(北尾一真、山田麗音、浅見和彦、伊藤澪奈子):「おふろあそび2.0」イベントの監修

今回企画の整理、工学院大学以外のクリエイターとのつなぎ込みなど、実行するためのサポートの立場で入らさせてもらいましたが、当日の運営に至っては学生自身が都度判断し、率先して動いていました。他にも、準備の段階でも細部まで気を配ったリスクマネジメントをしていたり、イベント参加など各プロジェクトの活動の経験が活かされている場面が多く見受けられ、様々な活動を通して学生達の主体性やコミュニケーションを育む「学生プロジェクト」の素晴らしさを改めて感じました。私達自身、学生達から 学ぶところが沢山あり、貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。