学生プロジェクトに夢中な私たち。

学生プロジェクトに夢中な私たち。

ずっと「好きなこと」を追い続けたい
2018 / 02 / 28
工科系分野の専門家を数多く送り出してきた工学院大学では、ものづくりにかかわる様々な学生プロジェクトがあります。
 
プロジェクトでは、校内で男子に比べて人数の少ない女子学生も、チームに欠かせない存在として活躍をしています。
 
そんなプロジェクトに打ち込む女子学生のリアルな姿を知るために、今回は「工学院大学ロボットプロジェクト(KRP)」「工学院大学ソーラーチーム」「Birdman Project Wendy」の 3 チームが集まっての座談会を開催。プロジェクトへの想いや活動の様子、チームのあるある話など、思う存分お喋りしてもらいました。

参加者プロフィール(右から着席順に)

「工学院大学鳥人間プロジェクトB.P.Wendy」...琵琶湖で行われる「鳥人間コンテスト」出場を目標に機体製作を行う。2017年には実に7年ぶり5度目の出場を達成。
機械工学科2年生の中﨑美夏子さん、機械工学科2年生の馬場日向子さん
 
「工学院大学ソーラーチーム」...オーストラリアで隔年開催される世界大会を目標に活動、2017年に3回目となる参戦、2015年大会では準優勝の実績。機械工学科3年生の石川はるかさん、機械工学科2年生の村田愛美さん
 
「工学院大学ロボットプロジェクト(KRP)」...「NHK大学ロボコン」優勝を目標にロボット製作と制御のすべてを実施。2017年には10年連続出場を果たしデザイン賞を受賞
機械システム工学科3年生の小野真由子さん、情報通信工学科2年生の岩崎咲月さん
 
一番左が当日司会を務めた浅沼さん

ロボコン、ソーラー、鳥人間、それぞれの活動内容

司会:まず、それぞれのチームの活動内容と役割を教えてもらってもいいかな?
 
日向子(鳥人間):Wendyでは、毎年夏に行われる鳥人間コンテストに向けて人力飛行機の開発に取り組んでいます。わたしは運営班で美夏子がCFRP班です。

美夏子(鳥人間):CFRPはカーボン素材全般のことで、CFRP班は機体製作に必要なカーボン素材を加工するのが仕事です。
左から機械工学科2年生の馬場日向子さん、機械工学科2年生の中﨑美夏子さん。話す人は工学院大学のマスコットキャラクター「クイーンちゃん」を持つのが本日のルールです
はるか(ソーラー)愛美とわたしが所属している「工学院大学ソーラーチーム」は、太陽光で動くソーラーカーの開発とレースへの参加が主な活動です。わたしはソーラーカーを運転するドライバーで愛美は機体製作を担当してくれています。
 
愛美(ソーラー)はるかさんのようなドライバーを支える側ですね。
左から機械工学科2年生の村田愛美さん、機械工学科3年生の石川はるかさん
 咲月(ロボコン):わたしたちは、「工学院大学ロボットプロジェクト(KRP)」です。毎年行われる「NHK大学ロボコン」に出場するためにロボットを開発するのが主な活動です。
 
真由子(ロボコン):咲月ちゃんは機体を動かす回路基板の設計やプログラミングを担当していて、わたしはロボットの機体を制作するチームです。
左から情報通信工学科2年生の岩崎咲月さん、機械システム工学科3年生の小野真由子さん
真由子(ロボコン):例えば、この写真みたいに金属を加工して、ロボットの部品をゼロから作ってます。
真由子さんが見せてくれた部品の画像
はるか(ソーラー):これって真鍮?
 
真由子(ロボコン):いや、使ってるのはアルミ。複雑な形状の難しい加工だったから、成功した記念に撮ったんだよね。
 
司会:写真を見ただけで何の素材かわかるんだ…!部品を写真に撮るのはみんなにとってはあるあるなの?
 
愛美(ソーラー):真由子さんと一緒で、うまくできたら撮ることはありますね。なかなかメンバーが厳しいので褒められることは少ないですけど(笑)

日向子(鳥人間):わたしも写真はいくつかありますね。例えばこれはカーボンを加工して作った部品です。機体とタイヤの間に挟む部品なので多分、ソーラーカーも似た部品を使っているはず?

はるか(ソーラー):うん!ソーラーカーは車体全体にカーボンを使ってるね。

魔剤にバラマンディ?プロジェクトごとのオリジナル用語

司会:プロジェクト内だけで使っている用語とかあったりするのかな?
 
美夏子(鳥人間):カーボン触った後は業務用石鹸で汚れを落とすんですけど、Wendyではその石鹸を「魔剤(まざい)」って呼んでます。
 
はるか(ソーラー):初めて聞いた(笑)
 
日向子(鳥人間):色がピンクで魔法っぽい感じがするからだよね。
 
真由子(ロボコン):ロボコンだと「天晴れ(あっぱれ)」とかかな?私たちが出場を目指すロボコンでは、毎年異なる競技課題が出て、その課題を完璧に成功させたら順位に関わらず優勝になるんです。その完全優勝を表す言葉が世界大会決勝開催国にちなんで毎年変わる。
 
咲月(ロボコン):今年はベトナム開催だから「ロンバイ」、去年は日本開催だから「天晴れ」でした。その言葉が毎年ロボコンチーム内で流行語みたいになってます。 
工学院大学ロボットプロジェクト(KRP)
愛美(ソーラー):ソーラーチーム内で通じる専門用語って何だろう...?
 
はるか(ソーラー):「バラマンディ」かな?
 
一同:バラマンディ?
 
愛美(ソーラー):隔年でオーストラリアで開催されているソーラーカーの世界大会に参加したときに、チームの監督である濱根先生や、卒業された先輩方が使っていた名称です。安全のための言葉で、無線で追い越しを伝えるためにわかりやすいワードとして「バラマンディ!」って(笑)。

はるか(ソーラー):少し補足すると、レースではドライバーが無線で指示を受けるんですが、オーストラリアでは各チームの無線チャンネルが決まっていて。その気になれば敵チームの指示とかも丸聞こえだから、戦略がバレちゃう。
 
愛美(ソーラー):そこでランチに食べた魚料理の「バラマンディ」を暗号にしようって言い出したんです。ノリノリで使ってました(笑)。

プロジェクトもアルバイトも全力で取り組む

司会:やっぱり、みんな普段の生活は授業とプロジェクト一色って感じなのかな?
 
はるか(ソーラー):バイトしてる人もいますよ。愛美はめちゃくちゃバイトしてるよね?
 
愛美(ソーラー):アルバイトは掛け持ちしています。バイトとプロジェクト、どっちも楽しいし学びも多いけれど両立するのはなかなか難しいです。
 
日向子(鳥人間):バイトから学びを得ることも多いもんね。わたしは塾で中学生に数学を教えてて、生徒に理解してもらえるように伝えるのって本当に大変...。でも、バイトで実践した伝える工夫がプロジェクトで活きてきたり。

美夏子(鳥人間):Wendyは授業以外、バイトかプロジェクトかって感じだよね。他のメンバーもみんな割と似たような生活を送ってるかも。
 
日向子(鳥人間):チーム内で「鳥バイト、鳥鳥バイト、鳥バイト」っていう川柳が流行ってたよね。(笑)ちなみに「鳥」っていうのはプロジェクトの略称です。
 司会:授業にバイトにプロジェクトと普段から相当忙しそう。コンテストやレースとなると体力的にハードなこともある?
 
咲月(ロボコン):そうですね。ロボコンは大会前に徹夜でコーディングすることも当たり前なので、結構きついときはありますね。いつも気合いで何とか乗り切ってます。
 
はるか(ソーラー):ソーラーカーのレースも体力と気合いが不可欠ですね。車内はとにかく暑いし、レース中は数時間トイレに行けないことも普通にある。
 
日向子(鳥人間):鳥人間コンテストも飛ばすまでに機体を人力で運ぶので相当疲れますね。
 
美夏子(鳥人間):テレビだと飛ぶ瞬間だけが放映されてると思うんですけど、裏ではみんな暑いなかスタート地点までの坂を機体を支えながら登って、順番が来るまで待機してるんですよ。
工学院大学鳥人間プロジェクトB.P.Wendy

プロジェクトの男子との関係は?

司会:なかなか大変なことも多いんだね...。ちなみにみんなはプロジェクト内だと数少ない女子だと思うんだけど、男子との関係性ってどうなの?
 
美夏子(鳥人間):女子だから気を遣うとか、特別扱いするとかはあんまりないよね。

日向子(鳥人間):Wendyの男子は控えめで優しい人が多いから、「もっとしっかりしてくれ!」って女子がグイグイ引っ張る側かも。
真由子(ロボコン):ロボコンも同じかも。男子は物腰が柔らかい人が多い。
 
咲月(ロボコン):そうだね。なので、作業で悩んだときには遠慮せず質問や相談し合う関係が築けてるかも。
 
愛美(ソーラー):それに比べるとソーラーカーの男子は元気な人が多い気がする。
食後のスイーツがやってくると、みなさん真剣に写真を撮っていました

ものづくりの喜びと勝利にかける想い

司会:忙しかったり過酷だったり、大変なことも多いなかで、みんなが活動を続けられてきた理由ってどこにあると思う?
 
日向子(鳥人間):やっぱり、自分たちが設計したものが形になっていく過程を見られるのは楽しいし、飛行機をゼロから作って飛ばすっていう特別な体験ができるからですね。

愛美(ソーラー):わたしも同じで、設計から制作を担えることにやりがいを感じます。スポンサー集めから何からすべて任せてもらえる環境で、世界の舞台で戦う車体づくりに取り組めることが本当にありがたい。
 
咲月(ロボコン):ゼロから自分たちで作るのは大変だけど、その分喜びも増します。海外だと市販の部品を使ってるチームも多いんですけど、私たちはオリジナルの部品でロボットを開発している。とても誇りに思いますし、だからこそ勝ちたいと強く思います。
 
愛美(ソーラー):私たちソーラーカーも、他にない独創的な車を作ることがポリシーなんです。そして、こだわった車で成果を残していきたい。
工学院大学ソーラーチーム
日向子(鳥人間):他にはないものを作り出すことと、確実に勝負に勝つことの両方が目標なのかも。
 
真由子(ロボコン):私たちも去年NHK学生ロボコンではデザイン賞を受賞できたのですが、残念ながら予選落ちしてしまって...。
 
咲月(ロボコン):悔しかったですね...。
 
真由子(ロボコン):だから、ものづくりにこだわって独自性は残しつつも、ちゃんと勝つための技術を磨いていってほしい。来年のロボコンは咲月ちゃんたち2年生が中心になるので期待してます。
 
咲月(ロボコン):頑張ります...!

卒業後も「好きなこと」に全力を注ぎたい

司会:今はプロジェクトに忙しいと思うけど、大学を卒業した後はどうするの?
 
日向子(鳥人間):昔から大好きな飛行機にかかわる仕事をしたいですね。Wendyの運営に取り組むなかで「どういう機体を作ればいいか」を考える面白さを感じたので、今は企画の仕事に興味があります。
 
咲月(ロボコン):自分の好きなことに関わる仕事をしていきたいです。わたしは鉄道やゲーム、ロボットの分野で、プログラミングを使って活躍できたら嬉しいかな。
 
美夏子(鳥人間):具体的に何を作りたいのかは決まっていないんですけど、自分の仕事が物として残るのがすごく好きなので、技術者としてものづくりをしていたいですね。
 
真由子(ロボコン):同じく、ものづくりの現場で働きたいです。今は大学院にいくか迷っていて、来年一年間がっつり研究をしてみてから決める予定です。
 
はるか(ソーラー):わたしは今ちょうど就職活動中で、自動車関連の仕事を志望してます。ただ運転が好きだからじゃなく、安全性を備えた車を作りたいから。
 
司会:それはどうして?

はるか(ソーラー):実はさっき話したオーストラリアでの世界大会のとき、試走中に事故で横転してしまったんです。そこでの経験から、運転する人の身を守る車づくりに携わりたいと強く思うようになりました。もちろん運転の楽しさも伝えていきたいです。
 
愛美(ソーラー):わたしは大学院に進みたいと考えています。興味のある粒子の振動について研究をしたいと思っています。
司会:みんな、卒業した後も興味関心を掘り下げていきたい想いが強いんだね!
 
はるか(ソーラー):そうですね。卒業後も好きなことは妥協せずに続けていきたい。
 
美夏子(鳥人間):そこはゆずれないよね。作業場でものをつくっていたい。デスクにじっと座って作業をしている自分は想像できないので。
 
愛美(ソーラー):わたしも好きなことを研究するために大学に入ったので、これからも初心を忘れず頑張りたいですね。まずはバイトとの両立から頑張らないと...! 
美味しいランチを囲み、終始和やかに進んだ座談会ですが、プロジェクトや自身の将来について語る6人の姿は真剣そのもの。まっすぐな瞳からは「好きなこと」に真摯に向き合い、ストイックに成果を追い求める強い意思が感じられました。
 
学生プロジェクトを通して、彼女たちは一回りも二回りも大きな成長を遂げ、卒業後も輝きを増していくはず。そんな未来に想いを馳せずにはいられませんでした。

取材・文/向晴香