アップデートする学生プロジェクト

アップデートする学生プロジェクト

2019 / 04 / 26
前回の記事では、みつばちプロジェクト(以下みつプロ)とScience Create Project(以下SCP)のコラボレーションで、学生プロジェクト初オリジナルグッズとなる入浴料「KUTE Honey In The Bath」を製作するまでのプロセスをご紹介しました。その後、入浴料を使ってもっとおもしろいことができないかを探るため、株式会社ロフトワークさんにサポートいただき、各プロジェクトの代表メンバーが集まりワークショップを行いました。今回は、ワークショップを通して学生たちが思いをかたちにしていった過程をお届けします。

プロセス

Step1. 目的を編み直す
Step2. 活動を繋げるアイディアのアウトプット
Step3. アイディアの統合

プロジェクト紹介

みつばちプロジェクト

イベントを通して、ミツバチに関する知識を深めてもらうことを目的に活動中。八王子キャンパスでは”内検”と呼ばれる週一回の巣箱の点検と、年数回の”採蜜”を行いながら、自然環境に興味を持ちミツバチを大切に扱っています。今年は、キャンパスで採れたハチミツを使った様々な商品の開発にも取り組んでいます。

Science Create Project

子供向けに科学実験を行い、科学の面白さを伝えることを目的としています。週に一回八王子キャンパスで活動し、グループに分かれてイベントで子どもたちが楽しめそうな実験を考えています。イベントは月に1回ほどあり、学ぶだけではなく教えることを通じて普段体験できない貴重な時間を過ごすことができています。部員は皆、和気あいあいと楽しく活動しています。

Step1. 目的を編み直す

入浴料の開発を目的としてコラボレーションした「みつプロ」と「SCP」ですが、本来は全く違う目的で活動してきた学生プロジェクトです。それぞれに価値のあるコラボレーションを続けていくためには、学生自身の言葉で2つのプロジェクトの共通の目的を編み直す必要があります。最初のアプローチとして各プロジェクトのメンバーが「製作した入浴料をどのように活かしたいか」という思いを書き出しながら、その想いの中にある本質的な目的に整理していきました。
「製作した入浴料をどのように活かしたいか」をテーマに、学生たちが書き出したテキストの一部
学生たちが書き出したテキストの一部
目的を整理していく学生達
似ている提案をグルーピングし、矢印で関係性を整理

編み直した共通する目的と、2つのプロジェクトで取り組みたいこと

思いを書き出した付箋を並び替えながら、関係性を整理していく中で、共通する目的と2つのプロジェクトが合同で実施したいことを抽出していきました。

編み直した共通する目的

プロジェクトの魅力を広く発信し、支援する人や優秀なプロジェクトメンバーを確保する。また他の大学生とちがった個性を身につけられる経験をする(個性が進路や就職を考える参考になるとなお良い)。

2つのプロジェクトが共に目指すこと

・活動を通じて非日常を体験してもらいたい
・毎年継続していくイベントをしたい
・普段の活動より、ビジュアル的に特別感のあることを行いたい

Step2. 活動を繋げるアイデアのアウトプット

編み直した共通する目的と、2つのプロジェクトが協力して進めたい事柄もとに、活動を繋げるアイデアをアウトプットしました。それぞれのプロジェクトの経験や、2つのプロジェクトで開発した入浴料など互いがもつリソースから、どんなことができるかアイディアをアウトプットしていきました。

書き出された様々な企画案(一部)

・ハチミツを用いた変色反応
・はちみつを使ったブラックライトの実験
・内も外もハチミツ
・入浴料を使ったバスボム作り
・ミストにして香りを楽しむ
・ハチが香りに興味を示すかを実験してみる
・大学に足湯を作る
・炭酸入浴料を用いて、シャボン玉を浮かす実験
学生が書き出した一例。絵と文字で、ぼんやりとしたイメージをまとめていきます。
書き出した後は全員で共有し、興味を持った案にはシールで「いいね!」とフィードバック

Step3. アイデアの統合

出てきたアイデアの中でも投票が集中していた案に共通しているキーワードを抽出し、「SCP」と「みつプロ」が今年一緒に取り組むテーマとして設定していきました。

キーワード1「科学実験」

ほぼすべての提案に共通したのは、「科学実験」というキーワード。科学の面白さを伝えることを目的としている「SCP」のメインテーマでありながら、ミツバチやハチミツを使った実験など、2つのプロジェクトが持つ特徴をアイディアに落とし込みやすくする「科学実験」は、2つのプロジェクトで何かに取り組む際に欠かせないキーワードとして抽出しました。

キーワード2「エンターテイメント」

生活の役に立つためではなく純粋な変化を楽しむ、知的好奇心をくすぐるための企画。また広く活動を知ってもらうきっかけをつくっていく目的と合わせたときに、「エンターテイメント」であることが必要だと考えました。 

キーワード3「お風呂」

一緒に作った「入浴料」が使え、なおかつ非日常的な空間になり得る場所は「お風呂」ではないかと考えました。
今年の活動は「科学実験」×「エンターテイメント」×「お風呂」をキーワードとし、科学実験によってお風呂遊びはアップデートできるかをテーマとして設定し、5月から模索・試行することになりました。
これから学生たちがプロジェクトをアップデートしていく様子を、引き続きこの学園広報誌「窓」で追っていく予定です。

祝!2000個全て配布

まだまだこれから活動の幅を広げていくこのコラボ企画ですが、まずは新入生を含めより多くの人に活動を知ってもらうために、この3月に入学式で配布するチラシを作成しました。これまでとこれからの活動を伝えながらも、入浴料のサンプルを手にとってもらえるデザインになるよう工夫しました。入学式当日は、何と2000個の配布を達成! プロジェクトメンバー約30人で、7時間以上かかりながらも、自分たちの商品を自らの手で配り切るという経験は、コラボしたからこそ達成できたことでしょう。

配布後の反響として、「入浴料、疲れがとれてすごく良かったです!」「家族から入浴料は売っていないの?と聞かれました」との声が続々と集まり、メンバーは、学内でプロジェクトの知名度が上がったことを実感しています。新入生はもちろん、保護者や在学生、教職員など多くの方々がこの2つのプロジェクトの活動に興味を持ってくれるきっかけとなりました。
チラシを折りたたむ学生の様子