英語力を磨き、日本文化を知る。

英語力を磨き、日本文化を知る。

「留学生サポーター」での経験が外務省への道につながった
2018 / 03 / 22
工学院大学・大学院には、現在、研究生も含めて約50名の留学生が在籍しています。「留学生サポーター」は、留学生の大学生活をサポートするために2015年に発足した学生有志の団体で、登録メンバーは数々のイベントを通じて留学生との交流を行っています。今回は、在学中に2年間にわたって「留学生サポーター」として活動し、この春から外務省に在外営繕業務職として勤務する一条平太郎さん(大学院修士課程建築学専攻2年)に、「留学生サポーター」の活動内容や魅力、そして活動を通じて得られたものについて伺いました。

きっかけは英語への純粋な興味。
大学4年次に「留学生サポーター」に。

この春、大学院工学研究科修士課程を修了した一条さんが「留学生サポーター」として活動の始めたのは学部4年次のこと。同活動に参加したきっかけは、「英語を使って話してみたい」という好奇心だったといいます。
 
「中学生の頃から英語の授業が好きで、特にヒアリングやスピーキングに興味があって個人的に勉強を続けていました。大学でも教養課程の英語に加えて、選択の英語の授業も履修していたので、自分としてはある程度英語が話せると思っていました。ただ、僕は留学経験があるわけでもないですし、海外旅行をしたこともありません。『実際にどのくらい英語でコミュニケーションできるのだろう?』と考えていた頃に『留学生サポーター』の募集を知り、『英語力を試したい』という気持ちで応募したのがきっかけでした」
 
一条さんが「留学生サポーター」として初めて参加したのは、2015年6月に行われた留学生交流会。留学生とサポーターを合わせて総勢15名ほどのメンバーが集まったパーティーは、アットホームで和やかな雰囲気だったといいます。では、一条さんは思い通りに英語でコミュニケーションできたのでしょうか?
「いや、まったくダメでした(笑)。やっぱり勉強と実際のコミュニケーションは違うんですよね。ただその一方で、きちんとした英語を話せなくとも、身振り手振りを交えながら単語をつないでいくだけで、意思疎通ができることもわかりました。もちろん流暢に話せればベストですが、自分ができる範囲でコミュニケーションをとることが大切。『英語ができなくてもどうにかしよう』という度胸と自信がついたことは、もともとあまりコミュニケーションに積極的でなかった僕にとって大きな収穫でした」

一条さんはその後も、定期的に交流イベントに参加。中国やナミビア、アメリカ、モロッコなど世界各国からの留学生と交流を深め、親しくなった留学生が日本語で奨学金を申請する際に事務手続のサポートなどをしたこともあるといいます。一条さんにとって「留学生サポーター」の魅力とは何だったのでしょうか?
「『留学生サポーター』は、いい意味で“ゆるさ”のある活動です。留学生交流会やハロウィンパーティーなど年に数回のイベントがあるのですが、強制参加ではないので、自分が行きたい時に顔を出せばいい。会話に参加できなければ、にこにこご飯を食べているだけでもいいんです。その気楽さが良かったですね。また、『留学生サポーター』というと、英語を上手に話すようなイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはなくて、それぞれができる範囲でなんとかコミュニケーションしている感じです。日本語を話せる留学生もいますし、みんなが助け合いながら会話を楽しんでいるのが面白かったですね。考えてみれば、基本的に留学生の人たちは日本に少なからず興味があって工学院大学を選んでいるわけですし、ゲームやアニメなど世界共通の話題で盛り上がることも多い。そんな“ゆるい”交流を通じて各国の文化にふれながらコミュニケーション能力を培えたことが、僕にとっての大きな魅力でした」

語学スキルと日本文化の再認識。
「留学生サポーター」で得られたもの。

2年間にわたって「留学生サポーター」として活動してきた一条さんですが、活動を通じて得た収穫のひとつが英語学習へのモチベーションを高められたことだったといいます。
 
「留学生との交流は、英語のスキルを磨くための貴重な実践の場。最初はなかなか上手く会話ができませんでしたが、その分『もっと勉強しよう』という気持ちになるので、交流機会を重ねるごとに少しずつ成長できたと思います。また、『留学生サポーター』には英語に関心のある日本人メンバーが多く、彼らと切磋琢磨できたこともいい経験でした」
 
大学入学時に390点ほどだったTOEICの点数を、海外駐在の目安ともいわれる730点まで伸ばしたという一条さん。「留学生サポーター」で培ったコミュニケーション能力が、自らの研究生活に活かされたこともあるそうです。
 
「以前、研究室の活動で世界的都市デザイン計画事務所『ゲール・アーキテクツ』(デンマーク・コペンハーゲンに本部を置く都市デザインを手がける事務所)のフィールドワークに同行したことがあるのですが、その際に彼らのメソッドや考え方について通訳を介さずに理解できたのは嬉しかったですね。また、フィールドワーク後には一緒に食事に行き、さまざまな話を聞くこともできました。あの時は、『留学生サポーター』での交流経験が役に立ったことを実感しました」
 
語学スキルの向上はもちろん、「留学生サポーター」は日本文化を見つめ直す良いきっかけにもなったといいます。
「世界各国の留学生と話していると、日本文化についてあらためて考えさせられることが多いんです。たとえば、奨学金の申請を手伝った中国人留学生から『思います』と『思っています』の違いを訊ねられたことがあるのですが、説明がなかなか難しくて……。また、短期留学に訪れていたアメリカ人から『日本にはハロウィンのような伝統行事はあるの?』と聞かれた時は『新嘗祭かな?』と答えたものの、それ以上の詳しい説明ができませんでした。こうした経験をするうちに、伝統的な建築物を含めて『日本文化とは何か』を強く意識するようになりました」

海外における日本の“顔”をつくる。
学生時代の経験を活かし、外務省へ。

卒業後は外務省に入省し、海外にある日本大使館や総領事館などの新築や増改築、保全や維持管理などを担う在外営繕業務職として在外公館などの建築に携わる一条さん。外務省を就職先に選んだ理由は何でしょうか?
 
「外務省に勤務している工学院大学のOBが事業説明に来てくださったことが、直接のきっかけでした。最初は『外務省にも建築の仕事があるのか』と驚きましたが、話を伺っているととても興味深くて……。語学研修や留学制度が充実していて英語をさらに伸ばせる環境ですし、なによりも『大使館をつくる』という仕事自体が魅力的でした。大使館は、海外における日本の“顔”ともいえる建築物です。2年間にわたる『留学生サポーター』としての活動は、語学力だけでなく日本文化についても学ぶ機会を与えてくれました。その経験を活かして、外務省で日本の象徴的な建物をつくることに関わりたいと思ったのです」
 
もちろんTOEICが730点に達していたことも一条さんの大きな強み。また、外務省の採用面接時には、「留学生サポーター」としての経験が活きる場面もあったといいます。
 
「外務省では、3年間海外に赴任し3年間日本で働くというサイクルが一般的で、面接時には『先進国だけではなく、発展途上国での勤務も多いが問題ないか』という質問がありました。幸い『留学生サポーター』では、アフリカ南西部に位置するナミビア共和国などの発展途上国の話を聞くことも多かったので『彼らが元気にたくましく生活しているのだから、自分もやっていけると思う』と自信を持って答えることができました。その結果かどうかはわかりませんが、無事、志望していた外務省に入ることができました。今後は、在外研修制度を利用してイギリスで英語力をさらに磨きたいですし、日本文化の源流となったシルクロードの国々でも働いてみたい。今は、新たな環境に対してさまざまな期待が膨らんでいます」
最後に、「留学生サポーター」参加を検討している学生へのアドバイスを聞きました。
 
「『上手に英語が話せないから……』と躊躇してしまう人もいると思いますが、工学院大学は理系の大学ですし、最初から流暢に話せる人は多くはないはず。まずは気軽に『留学生サポーター』に参加してみて、なんとかあがいてみることが大事だと思います。そうした経験が、英語力を高めるモチベーションにつながりますし、コミュニケーションに対する自信にもなる。『留学生サポーター』に参加することで、きっと大きな“学び”を得られると思います」