弓道場・ボクシング部部室
125周年記念最後の事業として、新弓道場・ボクシング場が竣工しました。「国産無垢材を使った木造無柱空間(7.2m×10.8m)をローコストでつくる」という条件に対し、弓道場には細い束・貫による格子フレーム、ボクシング場には大仏様の三手先を内部空間に反転した天秤フレームを提案しました。共に斜材を使わない水平垂直の構成と、その膨大な接合部の集積により外力を吸収する柔軟な構造で、「日本の伝統的木造建築の美しさや構造特性を現代の技術で再構成したい」という考えがベースになっています。
特徴的だったのは木材に関わるチーム体制です。まず最初に、国産材利用の企画提案者である後藤治常務理事から木材業者を紹介されました。設計の早い段階から業者と密に情報交換することで、コスト・性能を満たす最適な材料を選択できました。また大規模木造に欠かせない構造実験は、木質構造系研究室の河合直人教授に協力を仰ぎ、貴重な裏付けデータを得ることができました。前例のない設計に対し真摯に取り組んでくれた施工業者の皆さんも含め、この恵まれた体制があったからこそ新しい木造の可能性に挑戦できたのだと感じています。
工期中には建築学部1年生によるコンクリート平板作りを実施し、彼らの作品が弓道場の一部として組み込まれています。今後もこの建物が建築教育の生きた教材として活用されるよう、尽力していきたいと思います。
建築学部建築デザイン学科 冨永祥子
ギャラリー
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ボクシング場の架構模型
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弓道場の架構模型
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ボクシング場・弓道場の全体模型
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屋根架構構造実験
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屋根架構構造実験
1年生ワークショップ
本建築は、貴重な建設現場を公開することにより、建築を学ぶ学生等の“生きた教材”として教育目的に使用しました。
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型枠
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コンクリート練り
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脱型
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完成
着工前(2012年10月撮影)
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現在のボクシング場(正面中央の建物)
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現在の弓道部の練習場